先日、新華社通信グループの人力資源研究院が国内15都市の労働環境に対する調査レポートを発表しました。
調査対象の15都市は、東部沿海地区9都市、中部3都市、西部3都市からなります。対象となった業界は、交通運輸・物流・郵便業、金融業、卸売り・小売業、製造業の4つ。調査は、2010年1月分のデーターを基準に、11年6月分と10年1月分を比較するほか、11年6月分と去年同期比、各月のデーターも対照しながら分析しています。
物価上昇の要素を除き、11年6月分の一般労働者の実質賃金は、10年1月分より1%増。10年6月分からは5%減。実のところ、C P I (消費者物価指数)の上昇幅が賃上げ幅より上回っており、労働者の実質収入は減少中と言えます。
4業界においては、金融業の平均労働報酬がトップで4,632.04人民元。卸売りと小売業が2,063.24人民元で最低でした。また、上海の金融業の平均労働報酬は6117.67人民元で、重慶の卸売りと小売業の平均労働報酬1492.68人民元の4倍です。
今回の調査で15都市における4つの特徴が示されています。
ひとつは、労働者の総雇用人数は、前年同期比で増加していますが、前月比では減少しており、国のG D P 拡張ペースが遅くなったことと一致しています。
次に、昔から出稼ぎ労働者が集中していた東部沿海の広州と深圳における雇用人数が、前年同期比と前月比ともに減少しています。一方、瀋陽や武漢の雇用人数は倍増し、西部の成都も著しく増加しています。これは、経済発展にともない、内陸部でより多くの仕事チャンスが創出されることを示しています。
また、配達員や貨物車運転手などの新業種の賃金が急上昇しています。その反面、伝統的製造業の賃金が減少傾向にあります。そして、大部分の都市では、賃金総額が上がっていますが、物価の上昇を考えると、労働者の実質収入は減りつつあることです。
専門家は以下のように展望しています。
(1)東部沿海地域の労働者数が需要より足りなくなる一方、中部や西部の雇用人数が増え続けるにともない、平均労働報酬の増加傾向が続く。
(2)業種から見ると、交通運輸、物流、郵便業において、雇用人数と平均労働報酬の大幅な上昇が見込まれる。一方、雇用条件が低い卸売りと小売業においては、労働報酬の増加は見込めないかもしれない。
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