中国で日本食を販売して約15年になるモリタフーズ。 業界を知り尽くしたトップがこれから中国進出を目指す食に関する企業向けに これからの中国で、どのようにすれば、日本食が売れるのかを語った。
東日本大震災から半年が過ぎた現在でも、一部を除いて中国向けの輸出は止まっている。 野田首相が訪中することをきっかけに、"おみやげ"という形で、輸出が再開されるかもしれないが、 まだまだ期待できる状態にない。しかし、われわれは輸出再開の時にあわせて十分な準備をしておく必要がある。
普及する日本食文化
日本食文化は、今や中国には完全に行き渡っている。中国人の生活レベルの向上、ヘルシー志向、個食化などから、日本食の伸びはさらに期待できる。現地での日本食のイメージは、安全、きれい、おいしい、ヘルシーとポジティブなものばかりだ。中国人の富裕層は、驚くほど金持ちなので、欲しいものは何でも手に入る。あとは健康だけ。そういう彼らが日本食を好んで食べている。そして、いまは納豆ブームだ。大阪の食品メーカー・旭松食品の影響が大きい。健康というキーワードはまだまだ強い。キューピーマヨネーズは中国に進出して16年になる。中国人がサラダを食べる文化は、キューピーがつくったと言っても過言ではないだろう。現地では「サラジャン」と言えば、キューピーマヨネーズのことを指す。また、中国人は元来、冷たい食べ物がキライだったのだが、最近はコンビニのおにぎりを食べている。おでんはおやつ感覚で、おでんとおにぎりの組み合わせが定番になってきている。このように中国に進出した日本企業が、中国人に日本食文化を植え付けているのだ。
「日本食品」から「日式食品」へ
中国で手に入らない日本の食材はない。しょうゆもみそも豆腐もワカメもノリも何でも手に入る。そして、それらは日系企業が作っている場合が多い。すると、味はそこそこ良いうえに、輸入ものに比べて、ものすごく安価だ。現地の日系企業は中国人に受け入れやすいように、味を変えて作っている。そのあたりを踏まえたうえで進出しなければ、新規参入組はとても太刀打ちできないのだ。だから、日本食の輸出をこれから考える場合は、料飲店を狙うのも面白いかもしれない。中華料理は材料が多いので儲かりにくいが、日本食は少量で高額なので、利益を出しやすい。現地の中華料理店では、日本の焼肉のたれやマヨネーズ、日式のしょうゆなどを調味料として使っている。用途を変えれば、まだまだビジネスチャンスはあるのだ。
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