中国で日本食を販売して約15年になるモリタフーズ。 業界を知り尽くしたトップがこれから中国進出を目指す食に関する企業向けに これからの中国で、どのようにすれば、日本食が売れるのかを語った。
<売り方を考える上での注意点>
中国進出の初期段階では、まず業務用料飲店が入りやすいのではないかと考えている。料飲店では、味見をさせること、レシピをつくってあげること、この2点に力を入れれば、現地の人は、良い食材ならわりと飛びついてくれる。百貨店をターゲットに進出を考えれば、高級イメージはつくが、そんなに数がさばけない。逆にスーパーを考えると、たくさん売れるが、入店費用などの経費が高い場合が多い。現地のコンビニは、基本的に輸入品を受け入れない場合が多い。狙うなら、その場で食べられるような簡単な食べ物だと、ブレークする可能性が高い。
食品を輸出するうえで、最も注意しないといけないのが、賞味期限の問題だ。輸出の段階から現地の売り場に並ぶまでに、長くて2カ月ほどかかる場合がある。賞味期限が短い食べ物は、それだけで輸出規制の対象になってしまうのだ。なので、中国進出を考える際には、最低でも賞味期限は10カ月以上ある食材を選ぶべきである。
<パッケージはマルチリンガルに>
中国進出をゆくゆくは考えている企業なら、食品のパッケージをもともと多言語対応にしておくのはどうだろうか?そうすれば、現地で販売する際に、いちいちパッケージを変更する必要がなくなる。日本で売れるものは外国でも売れる。とくに、日本に訪れるアジアの観光客の目に留まれば、お土産に買うかもしれない。そうすれば、進出する際のアドバンテージになるかもしれない。パッケージをマルチリンガル化していれば、良い循環が生まれるチャンスが広がるのだ。また、ネーミングも大事だ。日本では何とも思わない「辛口」という言葉は、中国では「苦しい」という意味で、食品のパッケージに書くのはなじまないという話をよく聞く。商品に名前をつける際には、多言語対応しているかどうかも考えておく必要がある。
中国でもアジアでもどこでも同じだが、海外進出する際に、最も大事なのは代理店に頼りすぎないことだと思う。代理店の人よりも、自社の方が熱い思いがあるだろうから、その思いを現地のプロにぶつける機会を持ってほしい。いろいろと難しい部分も多いが、その思いを伝えることができれば、中国でのビジネス成功の第一歩につながるのではと思う。
≪ (5・中) |
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら