中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
日本ではありえないことが中国で起こった。その一部始終を監視カメラが捉え、物議を醸している。10月13日、広東省佛山市で2歳女児が続けて2台の車にひき逃げされるという事件が発生した。
この監視カメラに収められていた事故の一部始終を映像で地元メディアが報じ、中国のみならず海外でも大きな反響を呼んでいる。インターネット上では「恐ろしすぎる。わが国の人間性、道徳はとうとうここまで堕ちてきたのか」「引き裂かれたのはこの女児だけではなく、いまの社会の良識だ」など、中国人の道徳心を問う多くの書き込みがなされた。
中国では、道路などで倒れた老人を助けたところ、本人や家族から「あなたのせいで転倒して負傷した」などと治療費を請求されるトラブルもあり、「街頭で倒れた老人を、誰も助けない」現象が発生しているという。
10月6日、中国衛生部は老人や子供がよく遭遇する怪我などの対策ガイドを公表。うち「老人が転倒した場合における技術ガイド」では、「老人が転倒した場合、手を貸して起こす前に、倒れた人の身体的状態や倒れるまでの経緯を記憶しているか確認することが必要」としている。中国政府は、このガイドをあくまでも「医学の知識のないものが、むやみに倒れている人を助け起こさないための医学的な見地によるもので、倫理とは別の問題」としているが、「倒れた人を助けない」という風潮に、政府が倫理のお墨付きを与える結果となってしまったようだ。
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