市民の暮らしに欠かすことのできない『水』。一旦、水不足に陥れば、生活に支障をきたすだけでなく、水を扱う飲食業や製造業などに多大な影響をおよぼし、経済的ダメージを与えることとなります。それゆえ、治水も含めて『水』は、政治とは切り離せない関係であり、都市計画を立てるうえで決して無視できない要素です。
もともと流域の短い二級河川を主な水源としていた福岡市は、1958(昭和53)年、94(平成6)年と過去に2度、300日近くの給水制限が行なわれた歴史を持ちます。そのなかで、市民の節水意識の向上と同時に、驚異的なスピードで水管理システムが発達しました。高島市長もご存知のことと思いますが、福岡市が持つ同システムは、国内トップレベルである福岡市の水道事業を支えています。
先日、取材した福岡市水道局の水管理センターは、『昭和53年の大渇水』を受けて、そのわずか3年後、81(昭和56)年に本格稼動しました。現在、市全域の水道は、177の電動弁によって同センターから遠隔でコントロールが可能。122の水圧計と83の流量計によって、24時間体制で監視しています。さらに、市内で火災が発生した場合、同センターにも水道局から消防局から連絡が入り、一時的に火災発生エリアの水圧をあげるなど、消防との連携が図られています。福岡市民の暮らしだけでなく、安全も守るシステムと言えます。
普段の生活のなかでは、「蛇口をひねれば水が出るのが当たり前」という感覚を持ってしまいがちです。しかし、それは、我々市民の知らないところで、市水道局や福岡都市圏8市9町1企業団からなる福岡地区水道企業団の職員が、日夜、水の管理に尽力している結果なのです。
さて、過去、「渇水都市」との汚名で呼ばれた福岡市ですが、現在では、水管理センターや別稿で紹介する水道事業の各種先進的な取り組みにより、その汚名も返上されつつあります。そして、水に不安がないことこそ、都市の魅力といっても過言ではありません。市民に意外と知られていない、この優れた水管理システムを高島市長の『発信力』により、『リーダー都市』の魅力のひとつとして世界にPRしてみてはいかがでしょうか?
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