三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行5グループの2011年9月中間連結決算が14日、出そろった。税引き後利益は、国債の売買など市場関連部門の好調に加え、企業倒産が少なかったため不良債権の処理費用が減少したことから、5グループ合計で前年同期比約2割増の1兆5206億円に拡大した。中間決算としては06年(約1,7兆円)以来の高水準となった。しかし下半期(10月~3月)は、欧州危機の影響などでほぼ半減する予想で、先行きは楽観できないことから通期決算は厳しい見方をしている。
三菱UFJは、保有する米金融大手モルガン・スタンレー株の含み益約2,900億円が純利益を押し上げ、95・1%増の6,960億円。りそなHDが56・8%増の1282億円。一方減益のみずほFGが25・4%減の2,546億円、三井住友FGも24・8%減の3,137億円と明暗がわかれた。
下半期については、(1)世界経済の減速(2)株価下落による損失処理額の増加(3)イタリアやギリシャなど財政状況の厳しい欧州5カ国(PIIGS)向けの債権額(民間向けが中心)が5グループで約2兆円あり、今後の動向によっては損失が見込まれる。(4)日米の国債利回りの低下余地が小さく上期ほどの債券売買益が見込めない(5)本業の資金需要が伸び悩む。(6)返済猶予法が来年3月末で期限を迎えるため、中小企業の倒産の増加が予想される。(7)各行の個別の懸念材料としては、東京電力やオリンパス向け債権などもあり先行きは不透明としている。
今月内に成立が見込まれる約12兆円の11年度第3次補正予算による復興需要が本格化し、来年以降の景気を下支えするとの見方もあるものの、TPPや消費税値上げを巡る国会の空転などにより景気回復が遅れることが懸念されている。政府には円高是正やデフレ対策に本腰を入れて経済政策を遂行することが求められている。
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