「YouTube(ユーチューブ)」「Facebook(フェイスブック)」「eBay(イーベイ)」。どれもアメリカ国民に完全に定着したといえるオンラインサービスだ。そのうちのひとつであり、なおかつ最も歴史があるeBayと日本郵便が提携するのだから、日本の利用者が飛躍的に増える可能性は十分にある。では、eBayが普及すると、どんな影響があるのだろうか。
わかり易い例を挙げてみよう。世界で絶大な人気を誇る米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」。本体を保護するケースや外付けバッテリーなどの周辺機器が世界中で製造・販売されている。国内メーカー製のものはもちろん、海外メーカーの商品も手軽に家電量販店やネット通販などで購入することができる。しかし、eBayを利用すれば、そういった代理店や輸入業者を介さずに商品を購入(落札)できる。
たとえば、米国メーカー製の本革ケース(「iPhone 4」専用)。国内の某オンラインショップでは、4,935円(税込)で販売されているが、eBayではBuy It Now(即決価格)で24ドル99セント。11月15日現在のレート(1ドル77円10銭)で換算すると、同じ商品が1,927円と半額以下になる。もちろん、送料や手数料に違いはあるが、それでもかなりの割安感だ。もし、取引が簡素化されたら、ユーザーがこちらに流れる可能性が高い。
eBayの国内利用が伸び悩むネックであると考えられる、英語での書類作成や国際郵便の割高な送料に関しては、今回の提携で、ある程度解消される。また、国際的な決済サービスとして浸透している「PayPal(ペイパル)」は、すでに公式の日本語サイトを用意しているので、登録のハードルは比較的低い。もちろん、いざ取引をするとなれば、出品するにしても落札するにしても、英語でのやりとりが必要になる可能性はある。しかし、最近では、ウェブ上の翻訳サービスも精度が向上してきたし、NTTドコモが今月(11月)9日から、携帯電話を通じて、異なる言語で会話ができる「通訳電話サービス」の試験提供を開始するなど、IT技術の発展により外国人との取引は徐々に身近なものになっていくだろう。それも、向こう数年の間に。
このようにeBayの国内利用者が増加すれば、現地のメーカーなどから商品を直接、安く落札することが可能になり、国内ユーザーが恩恵を受ける反面、輸入・販売している企業や個人が煽りを受けるのではと懸念される。
日本郵便は、今後、ネットークションだけでなく、海外とのネット通販にも力を入れていく方針を表明している。国内業者に生き残る道はあるのか―。
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