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第2回 【インタビュー】環境保全型社会における企業のあり方(1)~(株)ワイエルインベスト・山本社長
「人生」極める
2011年11月15日 07:00
(株)ワイエルインベスト 代表取締役社長 山本 亮

 2011年は(株)ワイエルインベストにとって画期的な1年となった。今まで地道に取り組んできた環境ビジネスの成果が国際的に認められたのだ。5月、UNFCCC(気候変動枠組条約)からドイツのボンで開催されたワークショップへ招待され、活動を発表。その後、日本国内でも経済産業省から環境保全型社会を担う企業として調査業務委託を受けるなど、確実に社会の信用を得つつある。東日本大震災、福島第一原発事故、タイでの洪水被害など、環境保全に対する意識が高まっている現在、環境型社会と経済発展の両立を理念に掲げる同社の活動から学ぶことは多い。

<京都議定書と"大きな誤算">

 ――2004年、今よりもずっと自然保護と経済発展の両立が懸念されていた時代に、新事業を興した時の心境をお聞かせください。

山本-亮-社長.jpg 山本亮社長(以下、山本) 今は減りましたが、当時マングローブを植林するなんて馬鹿のやることだ、という声は多かったですね。しかし環境保護は私の欲、人が稼がなきゃいかんと思うぐらいの欲なのです。これやらないと死にきれない、という思いです。インドネシアの木を伐らせていただいて、戦後の日本経済は急速に復興し、住宅環境の回復も早かった。しかし、その結果、かなり自然を破壊しました。森は文明の前にあった、砂漠はその後にやってくるという、シャトーブリアンの一文に出会って、事業を辞めなきゃならんというより、火の玉のようになって仕事をしてきた心が一瞬にして萎えました。冷水を浴びせられた思いでしたよ。このまま老いに向かうのだとすれば、死ぬ前に何かしたいと切実に感じました。

 ――東南アジアやマングローブに着目したきっかけは?

 山本 材木の仕入れに行く時、インドネシアのスマトラ島海岸の上空を飛んでいると、干潟がずっと広がっているのが見えました。有明海の干潟は漁民の生活を支えていますよね、それと同じものがスマトラの干潟にもあると考えたのです。その時、沖縄に流れ着いたマングローブの種が森林になったことを思い出しました。干潟を森にすれば償いができるのではないか。そしてマングローブは、育ちがよく生命力がある木としてプロジェクトの主役にうってつけなのではないかと思い取り組みました。実は、そんなに育てやすい木ではありませんでしたけどね、マングローブは。

 ――ご苦労もあったのではないでしょうか。

 山本 仕事は苦労が多いほど、実った時は喜びが大きいものです。新事業というものは簡単にはいきません。それも覚悟の上でないと、できない仕事です。成功する自信はありましたが、資金不足には頭を痛めましたね。資金さえあれば、失敗しても原因を追究して新しい種を仕入れてみたり、育て方を変えてみたりすることもできます。潮の流れが良いところはどこかを見つけ出すこともできます。しかし、実験的な投資が許される余裕はありませんでした。それでも慎重に試行錯誤を重ねた結果、だんだんと要領を見つけ始めましたけれどね。今もその途中ですよ。

 ――なぜそのように資金面での困難が生じたのでしょう?

 山本 京都議定書がCO2削減の第一期間を打ち出したのが、企業設立後だったのです。京都議定書はCO2削減を目標としていたので、仕事にも使えると思っていました。排出権を取れれば資金を調達でき、循環的に軌道に乗せることが出来ると思っていたのです。しかし、第一期間は2008年からでしょう。その前にすでに目標を達成してしまっていましたからね。そこを評価していただきたかったのですが、出来ませんでした。これは大きな誤算でしたよ。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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▼関連リンク
・「やまじいのマングローブ」 環境保全型社会の羅針盤(前)~(株)ワイエルインベスト・山本社長


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