<世界に認められた2011年>
――時代の流れより先に実践してしまっていたのですね。人々が環境問題を真剣に考え始めたのは、1992年、リオデジャネイロで開催された国際会議だったと記憶しています。あれから20年目を迎えようとしている今、人々の反応は?
山本 この仕事はいい、と言ってくれる人が多いです。今年、国連のUNFCCC(気候変動枠組条約)に対し、AR/CDM(新規植林/再植林)の新規プロジェクトを申請しました。それがパブリックコメントとしてUFNCCCのHPに掲載され、海外から数々の問い合わせも受け取りました。世界の反応から国連もこの事業が有効であると考えて下さったのでしょう、UNFCCC本部から、ドイツのボンで行われる「承認されたAR/CDM方法論の利用制限の特定に関するワークショップ」へ招待されたのです。
――日本での反応はいかがでしたか?
山本 ワークショップ後、日本の経済産業省から「地球温暖化問題対策調査 非エネルギー起源温室効果ガス関連(地球温暖化対策技術普及等推進事業)」の委託事業者として採択されましたよ。10月には、東京で開催された「REDD+第1回公開セミナー」に参加し今までの活動内容の展示説明を行なうこともできました。会場に集まった研究者の方々が「私たちがこれから企画したいと考えていたことを、すでに実践し実績を上げている企業がある!」と、驚いて下さいましたね。
――資料を拝見すると、委託事業者のなかには、丸紅株式会社や住友商事株式会社などの大企業も名を連ねています。
山本 そうですね、そのなかで福岡の一中小企業が紹介されたことで、地域にも貢献できたのではないかと思っています。委託調査は着々と進んでいますよ。政府も、プロジェクトを伸ばしたいと思ったのでしょう。東京で環境省と外務省と経産省と農務省の主催で環境ビジネスの枠組みを作る会議へ参加しました。皆さんは今からやるには、どうすればいいのかと考えていますが、私たちはすでに行なっているのです。
――追随する企業も出てきそうですが
山本 最近は宇宙から地球に光線を放射し、反射の具合で森のCO2削減度を測るような技術も開発されています。弊社を参考にしたいと思う企業は多いでしょうが、真似はできないだろうと思っています。なぜならば、私達は、京都議定書が掲げる案のひとつ"クリーン開発メカニズム"の仕組みを実直に実践しています。それは、先進国とのプロジェクトにより、途上国の持続可能な成長に資する、という仕組みです。高度な技術を投入しただけで行なえるものではありません。
――具体的にはどのような方法なのですか?
山本 インドネシアの未開地に飛び込み衣食住を共にしながら、共同でマングローブ植林と良質なエビ養殖場の再生プロジェクトを手掛け続けるというものです。風呂もシャワーもない場所で腰まで泥に浸かりながら苗を植える、文字通り泥まみれの活動ですよ。資金だけを与え、涼しいところから作業を眺めている状態では、いいものは生まれません。インドネシアの人達と団子になって取り組んでいる我々のプロジェクトに追随するのは難しいでしょう。
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