ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

「人生」極める

第2回 【インタビュー】環境保全型社会における企業のあり方(3)~(株)ワイエルインベスト・山本社長
「人生」極める
2011年11月17日 07:00

<ようやく業績を認めた経産省>

 ――では、日本にとって環境ビジネスは難しいと?

 山本 いえ、環境ビジネスはものすごい勢いで進むと思いますよ。私たちの仕事も個人的な満足で終わるとは思っていません。国が関心を示してくれましたからね。日本は今まで地球の空気を汚してきた上位国です。もう補いもできないのですから、後は真剣に温暖化対策に取り組むしか道はありません。排出権の価値が上がってくれば、膨大な資金を支払って空気を買わなくてはならなくなります。しかしこの問題は結果が見えにくいので、国としては慎重にならざるを得ない部分もあったのでしょう。なかなか認めてもらえませんでしたが、ドイツへ招待していただいたおかげでやっとで経産省から資金をいただくことができました。
私たちの取り組みが公になれば、立ち上がる企業もあるはずです。

 ――どのような点が評価されたとお考えですか?

 山本 過去、インドネシアは、マングローブ伐採後の土地をエビの養殖場として活用してきました。日本のエビは、以前はほとんどインドネシアから輸入していました。しかし無計画に作り過ぎましたね。これもインドネシアのマングローブ林が450万haを250万haに縮小した一因です。化学飼料のために、土壌は劣化する一方、その結果、良質なエビが養殖できない。5年ぐらいで池の土がダメになり、挙句の果てには池が見捨てられる。この悪循環ですよ。荒れた池だけが残ってしまいました。私達はマングローブを植えることによって、空気だけではなく土地も浄化したいのです。地球温暖化対策はもちろんのこと、沿岸地域の修復と再生、そして再生しながら所得の確保も行っています。今、インドネシア海洋水産省直轄の水産学校と共同で進めている試験プロジェクトがあります。シルボ・フィッシャリー技術を用いた放棄エビ養殖池の再生作業です。マングローブ植林地の外側を3mぐらい使ってエビや魚を養殖する水路を作るのです。マングローブは葉の部分だけでなく、根の部分にも、自然の浄化に大きく作用する力があるのです。「海のゆりかご」と言われるように、タコの足のように張った根は豊かな海の生物、微生物を育成する天然の養殖地です。この技術の活用によって、周辺の水路では、天然資源を餌にしてエビを育て、天然エビに近いものを水揚げ出来るようになるでしょう。それが現地の人々の生活を豊かにもします。

 ――国の垣根を越えた共同作業がカギとなりそうですね

 山本 私たちは長年の付き合いから、どうすればインドネシア人の心を動かすことができるのかを熟知しています。まず、私たちが「こんな問題があるけどどう思うか」と彼らに問い掛けます。企画を提案するのは私たちですが、最終的な決定権は彼らに委ねます。トラブルが生じたら、私たちから、こうしたいから助けてくれ、と頼むと仕事は前に進みます。インドネシア人はインドネシア人の価値観もプライドがありますから、日本の物差しで測って、変えようとしてはいけません。

 ――日本人も、外国に出ていくのであれば、現地の人に合わせていく必要が?

 山本 現地の人にすべて合わせていっても、日本人が構築した効率的な仕事の進め方はできませんから、合わせすぎもいけません。大切なのは、彼らの信頼を得て現地の人に尊敬されるかどうかです。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

≪ (2) | (4) ≫


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

「人生」極める一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル