九州・山口・広島に本店を置く地方銀行21行の2011年9月中間決算が出そろった。従来は預金残高が銀行の実力と見られていたが、景気低迷のなかで収益の源泉である貸出金をいかに伸ばしていくかが問われるようになった。しかしいくら貸出金を増やしても不良債権比率が上昇すれば、その償却に追われ、赤字経営を余儀なくされることになる。今回銀行の本来業務である貸出金および預金について取り上げて見ることにする。
(1)預金残高では福岡銀行がトップ、以下、西日本シティ、広島、山口、肥後銀行と続く。そのなかで各行の預金の内訳は下記の通りとなる。このなかで注目すべきは、山口銀行の総預金に占める譲渡性預金の比率が9.33%と、他行に比べて非常に高いことだ。
自由金利でコスト的には高くつく譲渡性預金の比率が高いのは、オーバーローンで10月3日にスタートする北九州銀行へ資金を供給するためとも考えられるが、一般的には預金が集まらない場合に譲渡性預金を導入するケースが多いといわれる。
(2)貸出金についても福岡銀行がトップ、以下、西日本シティ、広島、山口、肥後銀行と続く。このなかで佐賀共栄の不良債権比率が8,77%、宮崎太陽の6.64%、南日本の6.5%が目につく。不良債権処理にメドがついていないことが窺える。また格付け制度が厳格であるはずの第一地銀の大分銀行の5.74%、筑邦銀行の5.21%、十八銀行の4.83%が目立つ。いずれも地域経済の低迷を反映しているものと思われる。
(3)今回預貸金の合計で順位が変わったのは11位の宮崎銀行と、12位の佐賀銀行だけであった。預貸金のボリュームが、本来業務の収益を伸ばすとともに、地域経済活性化のために、いかに貸出をしているかを見る上で大事な指標と思われる。
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