今回より、九州・山口の地銀（2011年９月）の中間決算から、グループの地銀の預貸金の計数および収益、また各県内の他行との競争力などについても随時取り上げていきますので、ご期待下さい。
今回、地銀グループについては下記を基準とします。

　（１）福岡ＦＧグループに、歴代頭取を派遣している福岡中央銀行を加える。
　（２）西日本シティ銀行グループに、金融支援をした豊和銀行を加える。
　（３）山口ＦＧグループに、山口銀行を分割して誕生した北九州銀行スタート時に 発表した計数。

１．ふくおかＦＧグループの計数について

１．計数から見えるふくおかＦＧグループ

（１）福岡銀行は預金残高７兆7,090億円、貸出金残高６兆5,622億円、税引き後利益145億円と他の地銀と比較して圧倒的なボリュームとなっている。

（２）親和銀行は預貸金とも11／3月比プラス。収益では業務純益は76億円で、前年同期比３．２％増となっているが、税引き後利益は前年の67億円から46億円に大きく減少している。減少要因は住宅ローン証券化にともなう一括処理費用23億円の特別償却を実施しており、それを差し引くとほぼ前年並みの収益を確保している。

（３）熊本ファミリー銀行は、預貸金残高は11／3月比で伸びたものの、収益は貸出金利息収入が94億9,700万円と前年同期の101億300万円から6億600万円減少。また前年は７億2,700万円あった国債などの債券売買益が一転して、▲100万円となるなどにより大きく減少。
　貸出金は8,991億円（11/3月比2.64％増）となったものの、他行との貸出競争の激化にともなう貸出金利の低下が主因と見られる。また、預金も１兆1,254億円（11/3月比2.08％増）となったものの、福岡ＦＧグループのなかでは、今後とも厳しい経営状態が続くものと思われる。

（４）福岡中央銀行は、預金残高は4,433億円（11/3月比5.08％増）と伸びたものの、貸出金は
3,368億円（11/3月比▲0.03％）と微減している。しかし収益は国債などの債券売買益７億円を主因として、業務純益は17億円（前年同期比61.2%増）、税引き後利益は10億円（前年同期比385%増）と前年の２億700万円から大きく改善している。

２．ふくおかＦＧグループについて

上記説明の通り、福岡銀行は安定した業績。また、親和銀行も業績は改善傾向にある。しかし熊本ファミリー銀行や福岡中央銀行の財務体質は盤石とは言えず、他行との低金利の貸出競争による貸出利息収入の減少、来年３月末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法にともなう企業倒産による不良債権の増加などの要因もあり、地域経済の動向によっては厳しい経営を余儀なくされる恐れがある。

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