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SNSI中田安彦レポート

シラケまくりの2012年米大統領選挙(中)
SNSI中田安彦レポート
2011年11月26日 07:00
2011年11月24日
副島国家戦略研究所・中田安彦

 八百長芝居といえば、共和党のなかにもその疑いがある。12年の共和党の候補者選びは人気候補者が出てくると、どこからともなく似たようなキャラクターや政策を掲げる別の候補者が現れ、支持者を喰い合うという構図がある。サラ・ペイリンが人気だったら、似たような保守思想を持つミシェル・バックマン(ミネソタ州選出下院議員)が登場する。今年になってテキサス州のリック・ペリー候補が、華々しく登場したかと思えば、今度はペリーが掲げる主要政策である「減税」で似たような政策を掲げる、ハーマン・ケイン候補が登場し、人気をさらうという現象である。このケイン候補は黒人のビジネスマンだが、全米レストラン協会の代表を務めていた90年代(随分昔の話だ)に数人の女性に対してセクハラをしたというスキャンダルが浮上、言った言わないの騒ぎになっている。

1126_ロナルド・レーガン.jpg ペリー候補はもともと有力視されていた大統領選挙には2度目の挑戦となるミット・ロムニーの有力な対抗馬として浮上した。ペリーはカーター大統領を破って保守政権を確立したロナルド・レーガン大統領の再来を狙っていたようなところがあった。しかし、レーガンがうまくいったのは、ペリーがテキサス州知事だったように彼がカリフォルニア州の知事の経験がある政治家であった以上に、彼が映画俳優だったからでもある。

 この点でペリー候補は役者としては落第点である。ペリーは、酩酊して演説する姿がユーチューブにアップされたり、候補者同士の討論会では、自分が廃止したい政策に掲げている廃止すべき政府機関の名前のひとつをど忘れして、対抗馬に助け舟を出してもらう様が全米に放送されるなど、信じがたい失態の連続が続いている。冷静に見ていけば、これらのどの候補も現職には勝てないだろうという有様なのだ。

 ペリー候補とケイン候補はもともと共和党のサプライサイダー(共和党のなかで減税をテコに企業利潤を増やし、そこからのトリクルダウン効果によって経済を成長させようとする考え方)の主要な政治家や言論人である、ジャック・ケンプやスティーブ・フォーブズ(雑誌『フォーブズ』のオーナー)たちの思想を受け継いでいるし、もともとサプライサイダー政治家の人脈とのつながりが深い。ふたりが打ち出した均一税率(フラットタックス)の政策もサプライサイダーの専売特許というべきものである。

 ペイリンとバックマン(保守おばさん)とペリーとケイン(フラットタックス)というに多様な属性のキャラクターがどんぐりの背比べを続けるなか、本命視されていたミット・ロムニーが今のところ目立ったスキャンダルもなく、安定した支持率を確保している。

(つづく)

≪ (前) | (後) ≫

<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。


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