中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
中国政府の鉄道部は、北京と上海を結ぶ高速鉄道を12月12日から増便させることを明らかにした。1日の運行本数は、最高時速300キロの列車が3往復から65往復に、最高時速250キロの列車が25往復から27往復に、それぞれ増便される予定だ。
政府によると、事故の際に回収された車両と同じタイプの車両を再投入することにしていて、「すべての品質検査をクリアした」と表明している。事故を起こした車両は、たびたび故障や不具合を起こしていたが、「これまでの故障の70%は部品の問題だ」としている。そして、モーターを製造する企業の品質管理が基準以下だったと説明している。
ただ、この路線はもともと非常に乗車率が悪い。10月1日から始まった国慶節の大型連休以外は乗車率100%になることはほとんどなく、事故でさらに客離れに拍車をかけている状態だった。当初数年間は毎年、日本円で600億円以上の赤字が出る見通しという。
今回の増便は、中国当局の"権威"を示しているとの見方もあるが、インターネット上のアンケートではすでに、「政府の発表は信じられない」とする回答が過半数を超え、「車両の品質の問題だけが事故の主たる原因ではない」との意見が大勢を占めている。中国では、汽車のことを、「火車」と書くが、中国高速鉄道が、財政面からも、世間の目からも、文字通り「火の車」状態を抜け出せるか、注目されるところである。
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