8日、金融庁は宮城県を地盤とする東北地方最大の地方銀行である七十七銀行(本店:仙台市)が、公的資金を活用する検討に入ったことを受け、改正金融機能強化法に基づく公的資金を月内に注入する方針を固めた。資本投入額は200億円規模とみられ、12月中に国が劣後ローンを引受ける。今後10年をメドに返済する方針。この資本注入により、自己資本比率は9月末の11.57%から1ポイント程度上昇するものと見られている。
同行は大震災で多くの取引先が被害を受けた結果、貸倒引当金が大幅に増加し、2011年3月期は306億円の最終赤字を計上していた。今期は黒字に転換する見込み。
今年7月に成立した改正強化法に基づく公的資金の資本注入は、9月に同じ宮城県の仙台銀行が300億円、茨城県の筑波銀行が350億円を受けている。また信用金庫も被害の大きかった岩手、宮城、福島県の4信用金庫、宮古(岩手県)、石巻・気仙沼(宮城県)、あぶくま(福島県)が年度内に合計400~500億円程度の資本注入を、全信連経由で受ける見通し。
地域金融機関は、今まで金融庁の特例措置によりに手をつけていなかった融資先の査定作業を、年明けから本格化する。今後の査定で経営再建が難しいと判断される融資先が増える可能性が高い。資産査定により多くの融資先企業の事業継続が厳しいとの結果が出れば、金融機関に対する再度の資本注入は避けられないのではとの見方が強い。現地の企業にとっても地域金融機関にとっても、本格的な冬の寒さと厳しい査定の現実とに直面することになる。
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