東芝は半導体事業の再編計画を発表。北九州工場(北九州市小倉北区)など国内3工場を、来年度上半期中に閉鎖する。大分工場も生産を一部縮小し、海外への移管を加速させる。北九州の従業員約530人と、大分の縮小にともなう約500人の計1,000人以上は、国内の他の生産拠点に配置転換する。
東芝の単機能半導体事業の国内拠点は、子会社の豊前東芝エレクトロニクス(福岡県豊前市)など3カ所に集約。付加価値の高い製品の製造に集中して、競争力の強化を図る。
大分工場では、半導体基板となるシリコンウエハーのうち、口径の小さい150ミリウエハーの生産
ラインを半減。今後は大口径ウエハーの生産を強化する。豊前東芝も、一部製品の生産を海外
移転するが、従業員は800人体制を維持する。
工場を閉鎖するのは北九州工場(北九州市小倉北区)を始め子会社の浜岡東芝エレクトロニクス(静岡県御前崎市)、東芝コンポーネンツ(千葉県茂原市)の3工場。
北九州工場は、1920年に白熱電球を製造する東京電気(現・東芝)の小倉工場として操業を始めており、90年以上の歴史を持つ同社最古の工場。39年に東京芝浦電気小倉工場に名前を変え、高度成長期にはトランジスターなどを生産した。白熱電球は東芝の草創期の主力商品で、生産拠点の象徴的な存在だった。60年代から半導体の生産拠点となっており、発光ダイオード(LED)ランプや、デジタルカメラ、携帯電話の半導体部品などを製造してきたが、閉鎖後は子会社の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)に生産を移管する。
同社最古の北九州工場の閉鎖発表に、従業員や地元住民は驚きを隠せず、北橋健治北九州市長も強い衝撃を受けて、緊急記者会見するなどその対応に追われた。閉鎖により530人の従業員は他の工場に配置転換することになる。
東芝の半導体部門の工場閉鎖による合理化策は、1ドル=77円台前後の円高が続き、海外勢との競争に太刀打ちできないと判断したことによる。今年に入り円高の影響を受けて国内電機大手が工場の生産停止に踏み切るのは、パナソニックに次いで2例目となる。
東芝北九州工場閉鎖は北九州市民にとって大きな衝撃となった。新日鉄と住金との合併交渉も公取委の結果待ちではあるが、合併しても工場閉鎖しないとの両社社長の記者会見での発表を信じるしかない。円高の進行は、国内工場の閉鎖による雇用の縮小と工場の海外移転を確実に加速していると言える。
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