(以下の文章は一般社団法人市民講座運営委員会発行、『住宅塗り替え工事で失敗しないために読む本』から引用しています。)
クレーム事例研究:価格だけで、判断していませんか?
表面的な低価格工事が、大きなクレームに発展することもよくあります。それは、低価格には低価格になるだけのトリックが隠されているからです。
まず最初に挙げられるのが、「坪単価での見積もり」または「一式見積り」です。正確な塗装面積が計測されていなければ、すべてが曖昧な見積もりになってしまいます。その金額の中にどんな内容が含まれているかが明記されていないため、最初の見積もりは安くても、適正な量や工程を省いている可能性があるのです。
続いてのトリックは、「違法行為の簡易足場」です。様々な危険がともなう工事には、安全性を確保するために守らなければならない法的規制があります。工事の際の足場の設置もそのひとつで、足場の設置を足場業者に発注せずに、その分の費用を削るために、自ら違法な簡易足場を設置する塗装業者が存在するのです。これは、法律違反であると同時に、簡易足場では塗装工事の品質を落とすような現場環境であることも知っておく必要があります。
信じられないようなトリックは、まだあります。「余った塗料の使い回し」です。塗料の性能を発揮させるための規定塗布量を守らずに余らせ、他の現場で使い回すのです。ひどい業者になると、規定塗布量の半分程度しか使用しないこともあります。塗料代が大幅に浮くので低価格工事を行うことはできますが、品質が低くなり見栄えが綺麗なだけの工事で、塗装本来の性能はほぼ発揮できないでしょう。
最後は、「下請け職人への安値発注」です。一部の悪質業者の場合、塗装工事は外部の下請け業者に丸投げしているというケースが多く、その外注費用が削られます。これでは、低価格で工事を行うことはできても、非常に安価で依頼された下請け職人による「手抜き工事」が発生する可能性も高くなります。
表面的な安さでの判断は、塗り替え工事失敗への第一歩ともいえるのです。
【今回のポイント】
■違法な簡易足場は危険であり、工事品質も落ちる
■他の現場で余らせた塗料の使い回しの可能性がある
■下請け工事の安値発注は、手抜き工事の最大の原因
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