マネジメントゲームでは「資本」の額が勝敗を決める。このゲームのルールにおいては繰越利益でしか株主資本を増やすことができないため、経常利益の獲得が資本拡大の唯一の方法となる。
一般的に新規事業を立ち上げの際には3年以内の単年度黒字化が目標とされる。今回のマネジメントゲームモニター大会に参加した11名も2期目までは全員が経常赤字、その後、3期目に経常黒字を達成したのは4名だけだった。
3期を通して最も利益を獲得したのは弁当配達事業や飲食店経営を手掛けている(株)デリズの代表取締役を務める井土氏。井土氏はマネジメントゲームにおいても、早くから大型店舗を出店したことで、3期目には最も多い客数と売上高を達成した。
■ 経常黒字達成者(経常利益額)
1位.井土(595)
2位.河村(341)
3位.山本(146)
4位.田中(143)
その一方、3期の決算を終えた時点で最も「資本」を増やして優勝したのは、大陸旅行(株)の取締役である河村氏。参加者11名のうち河村氏だけが最初、全員に渡された資本「500」を「529」にして、三期を通じて元手の資本を5.8%増やした。3期目の経常利益でこそ井土氏にはおよばなかったが、3期を通してコストを抑えたことが河村氏の優勝の要因だ。
■ 資本ランキング上位(資本額)
1位.河村(529)
2位.山本(440)
3位.井土(410)
4位.井口(117)
資本を拡大させることが資本主義における株式会社のルールである。だとすれば、資本を増やすためには資本への利益の繰り越しが必要となり、そのためには利益を確保しなければいけない。つまり、ゲーム中にライバルとの競争のなかで「赤字覚悟」や「採算度外視」といった客単価で顧客を獲得している限りは、資本は回転こそするが、いつまでたっても資本を増やすには至らない。
経営の4要素とされる固定費、変動費、平均単価、売上個数。次回はこの4要素のやりくりで好成績を収めた参加者たちの経営アプローチを検証していく。
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