福岡県弁護士会所属の稲尾吉茂弁護士が、きのう13日、福岡地裁から破産手続開始決定を受けた。
稲尾弁護士は依頼者から預かった2,500万円余りを着服したとされ、11月22日には、福岡県弁護士会が説明会を実施。同弁護士の着服にまつわる相談窓口まで設けられた経緯がある。預かり金の支払いに窮して、依頼者(被害者)から告訴される可能性もあるなか、同弁護士自身が福岡地裁に破産を申し立てたことで今回の事態に至った。
ちなみに、弁護士法7条は「破産者で復権を得ない者」は「弁護士となる資格を有しない」と規定しているため、破産の決定が確定すると稲尾弁護士は弁護士資格を失うことになる。そうすると弁護士会が懲戒処分を下すことも出来なくなってしまうのだが、本来であればかかる事態に至る前に処分がなされてこその「自浄作用」であり、そのための「弁護士自治」であろう。今回のように犯罪に問われる可能性が高い(今回のケースは弁護士自身が横領を自認している)であれば、なおさらその感を強くする。
一般人から出された懲戒請求に対する弁護士会の動きの鈍さに対しても、従来から根強い批判がある。弁護士の悪質性は個々の判断になるとはいえ、根底に流れる業界の閉鎖性や自浄に対する消極さは、弁護士全体に対する不信の元になりかねない。
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