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SNSI中田安彦レポート

2012年―「律令(霞が関主導)政治の打破」という大きな対立軸(4)
SNSI中田安彦レポート
2011年12月15日 07:00
2011年12月11日
副島国家戦略研究所 中田安彦

 震災対応にしても菅政権を批判するのではなく、小沢が率先して菅に頭を下げ、政治プロセスに参加して震災復興を行なうということもありえた。いかにも「小沢傀儡」のイメージを持たれる海江田元経産相ではなく、別の若手を支えるという行動も選択できたはずだった。小沢自身の主張が「自立した個人として主張できる政治家」であり、そのようなビジョンを共有できる政治家であれば誰でもよかったはずなのだ。

馬淵澄夫元国交大臣.jpg その意味で小沢一郎が、代表選挙に出ていた馬淵澄夫元国交大臣を推さなかったのは非常に残念なことであった。野田首相が自らを「どじょう」になぞらえたことで話題になった民主党代表選挙だったが、他の海江田、鹿野、前原らすべての候補者のうち、最も響いてくるのが馬淵の演説だった。馬淵は理系出身の建設会社の社員出身で、少学校6年生の時以来、政治家・田中角栄に私淑し政治家を目指したことを公言している。代表選挙の個人演説では、自ら次のように語っている。

(引用開始)
 この初当選(引用者注:2003年)後すぐに行ったのは、国会に残っている田中角栄さんの議事録の検索でした。1,220編の議事録が残っています。全てを読み下し、正に戦後の復興の中で、地方から、地域から、この国を、もう一度、どこに住まいをしても、安心して、豊かな暮らしができる国にしたいという、そのほとばしり出るような想いが、議事録に詰まっていました。(中略)

 田中角栄さんが語ったこの国の姿を表す言葉でもありました。まさに、私の政治の使命である、家族を守ることが第一、生活を守ることが政治の使命であるということが、その言葉の中に込められていました。

(引用終わり)

野田代表のポスター.jpg 民主党は09年の衆院選挙を「国民の生活が第一」を合言葉にして勝利した。このスローガンは「官僚の権限維持が第一」という実態とともにどんどん骨抜きにされている。これは菅政権では「元気な日本を復活させる」という財界寄りのスローガンに変わったが、野田政権では復活したもののポスターでは「 ひとつ、ひとつ、乗り越えていく」というものに隠れて、ものすごく小さな扱いになっている。

 しかし、「ひとつ、ひとつ」乗り越えられているのは、鳩山・菅政権でもなんとか守りぬかれてきた、「国民の生活」である。野田代表の写ったこのポスターは官僚機構が、ひとつひとつ増税やTPP推進、日米同盟強化という国民の生活破壊のハードルを乗り越えてきたという「ブラックジョーク」でしかない。あまりにメッセージがひどいので、このポスターは街中でもまったく見かけない。

 このように見ていくと、今の日本における政治の対立軸は民主党内部だけではなく与野党の間で共通して、「国民の生活が第一派」と「官僚主導が第一派」に別れており、後者が今や我が世の春を謳歌(おうか)していることがわかる。

 それもこれも、政治家の側が、知識と情報を豊富に持っている「勉強秀才」である理屈と弁だけは立つ官僚集団に対して反論できないどころか、彼らの助けを借りなければ重要な政治課題の策定すらもできないからだ。情けないことだがこれが日本という国の実態である。(どうも世界的にもその傾向が見え始めてきている)

(つづく)

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