利益を増やすための原理はいたってシンプルだ。「経営の4要素」とされる売上個数(客数)、平均単価、固定費、変動費の4要素のやりくりで最終的な利益は決まる。具体的に言えば(1)客数を増やす、(2)平均単価を上げる、(3)固定費を減らす、(4)変動費を減らす、以上4つの要因(図1参照)を実現することが利益は増やすための原理である。
図1:経常利益の拡大原理
そこで、11月18日に開催されたマネジメントゲームモニター大会において、成績優秀者上位3名が、経常利益の拡大においてどの経営要素を重視していたのかを比較してみた。マネジメントゲームのミッションは手元の資本を経営を通じて増やしていくこと。図2は損益改善の取り組み評価をグラフ化したもので、参加者11名の相対評価に基づいている。
図2:損益改善の取り組み評価
まず、上記(図2)のグラフを見ると、成績上位の3名は共通して「客数を増やす」ことに注力していたことが分かる。当たり前と言えば当たり前だが、客数は利益の源泉である。だが、もう一つの売上要因である平均単価はあくまで客数に従属するもので、客数がなければ、平均単価はいくら高くても意味はない。
高付加価値のビジネスがある一方で、薄利多売のモデルもある。山本氏は薄利多売に徹底することで客数を最も多く集め、見事に2位という結果を収めた。逆に、最も高い平均単価だったA氏は、客数を獲得することができずに最下位に終わっている。
また、成績上位3名は総じて「変動費を減らす」取り組みが少ない。これは粗利益の高い飲食店経営では変動費を減らすことよりも客数を増やすことのほうが利益を増やしやすいため、合理的な判断なのかもしれない。
図3:営業戦略の取り組み評価
図3は、同じく成績上位3名の営業戦略での取り組み評価である。これは、図2で示された取り組み要素を前提に、どういった営業手段を選択したのかが分かる。
たとえば、河村氏は「客数を増やす」「平均単価を上げる」「固定費を減らす」といった基本戦略のもとで、広告宣伝と商品開発に力を入れた。また、固定費を抑える戦略のなかでも、比較的競争が少ない高単価顧客市場へ参入の設備投資は行なっており、3期を通してロスの少ない経営を成し遂げた。
薄利多売モデルに徹した山本氏は、「客数を増やす」ために、設備投資、商品開発、社員育成に力をいれた。ここでいう設備投資は出店店舗のことで、薄利多売を推し進めた山本氏は小型店舗と大型店舗の併用で集客力を拡大していった。
同じく大型店舗から大量の客数を獲得した井土氏は、広告宣伝や商品開発に頼らずに、社員育成を軸にした営業方針だった。現役の飲食店経営者ということもあってか、3期目には参加者のなかで最大の売上高、客数、経常利益を達成した。だが、ゲームのルールを理解した2期目に、当初からの方針転換で一度出店した店舗を解約するなどして他者よりも多少のロスが発生していた。
(続く)
■お知らせ
会社の経営計画や幹部候補育成の教育プログラムとして、川庄公認会計士事務所さん2012年1月に開催されるようです。企業経営のコスト構造が体感できるマネジメントゲームへの参加をぜひご検討下さい。
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