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SNSI中田安彦レポート

2012年―「律令(霞が関主導)政治の打破」という大きな対立軸(6)
SNSI中田安彦レポート
2011年12月19日 07:00
2011年12月11日
副島国家戦略研究所 中田安彦

 私が心配しているのは、今の民主党政権の主流派(凌雲会や花斉会)の面々たちは、血の通わない政策論争にしか興味がないと見えることである。
 「日米同盟の深化」が自己目的化した外務省の官僚たちに言いなりになる政治家たち、アメリカのご機嫌を採るためにアメリカ国務省の官僚たちのいうことをオウム返しにする外交安全保障の政策通たちである。

 誰とは言わないが、花斉会の長島昭久議員や近藤洋介議員のような野田首相の側近たちはそれぞれ米外交シンクタンクや日本経済新聞社出身であり、それぞれの知的な議論をやらせれば、言論知識人なみの知識と理屈でやり返してくる。前原誠司元外相も京大の「高坂正堯ゼミ」(外交の泰斗を輩出するゼミ)出身であり、安保論争はできる。それはそれで立派なのだが、結局はアメリカの外交関係者相手、記者クラブの取材相手である官僚・財界人あいての狭いサークルの中でしか通用しない議論なのである。早い話が「阿呆陀羅経」を唱えているだけなのである。タコツボ型の知識人だ。

 一般国民を「納得」させるには、自分の専門分野だけではなく、全く関係ない政策分野で地道な「雑巾がけ」をする必要がある。それは党務であってもいいし、委員会での立法活動であってもいい。そういうことを経験しないで、限られた分野だけに特化した「政策通」となった官僚のような政治家たちが国家政策に関与している。これは大きな問題だ。安全保障マニアにはそれが受けるのだろうが、一般国民にはいい迷惑である。専門バカになりたいのなら政治家ではなく評論家になりなさい。

 あるいは、外交安全保障分野という限られた分野に限ってみても、日本の外交族といえば、かならずアメリカ通であるという相場が決まっている。これは外務省でも出世コースが北米一課から総合外交政策局に出世するルートだからだ。しかし、この中国台頭の流れの中、世界が多極化する中、アメリカ通だけを揃えていれば外交がうまくいく時代は終わった。

中国のエリートの懐(ふところ)に飛び込んで議論ができるくらいの中国語使いや中国通の国会議員は全くいないのだ。これは大きな問題だ。アメリカでも今の中国大使は前の商務長官のゲイリー・ロックという人物で中国系である。日本はアメリカ留学帰りばかりが粗製乱造されている。「アメリカやアメリカの外交防衛戦略に詳しいということが世界を知っていることだ」といえる時代はとうに終わったのだ。

民主党-蓮舫-議員.jpg 日本で中国・台湾系といえば民主党の蓮舫議員がいるが、どうでもいい官僚がお膳立てした「政策・事業仕分け」の客寄せパンダに利用されているだけで、彼女は自分の強みであると思われるアジア外交にたいする発言を一切していない。アメリカ通がいるのは悪いことではないが、それしかいない、というのがアメリカの属国である日本の実態なのだ。これが問題なのである。

 そんななかで小沢一郎が長城計画という日中の議員交流プログラムをやると、親米一辺倒の愚かなマスコミや官僚機構から集中砲火を浴びる。このように、本当にこの国はまだ自立していないし、マッカーサーが言ったように「12歳の精神年齢」である。これは小沢一郎の取り巻きの議員たちにも言いたいことだが、「国家の自立」というのは別に「反米」になるということではない。いうなれば、対等な関係で政策や外交課題について怒鳴り合いの議論ができるということである。日本はアメリカや中国に対して弱い立場にあるのは事実だが、いたずらにそのメンタリティに囚われてもいけない。

(つづく)

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