中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
北朝鮮の金正日総書記が17日午前死去した。この訃報は、中国国内にも瞬く間に広がり、その日のトップニュースを占めた。 そして、インターネットニュースを中心に、一晩中続報が掲載されつづけた。
中国政府の報道官は、記者の質問に対し、金総書記を「偉大な指導者」とし、深い哀悼の意を表明した。そして、後継者とされる正恩氏に対し、新たなリーダーシップに期待するとの報道もあった。また、金正日氏のこれまでの生い立ち、足跡などを振り返る特別枠が編成され、論調は、概ね敬意を表している。これに対し、中国版ツイッター「微博」や大手ブログサイトには、「今回の件で、北朝鮮にとっては、中国への依存度がさらに高まる」「北朝鮮が民主化へ進む絶好機」などの書き込みが多数出現している。中国政府がよりリーダーシップを発揮するよう期待を促しているとみられる。
また、中国の市場にも影響を与えているようだ。A株が約2.5%下落し、匯豊銀行のエコノミストは「微博」で、「経済リスクが上昇する」とつぶやき、少なからず市場に影響が出ることを示唆した。為替相場では、韓国ウォンが急落したことで、円安も進んだ。
北朝鮮と国交がほとんどない日本では、拉致問題解決がニュースの焦点となっているが、外交面でも密接に関わる中国にとって、北朝鮮のトップの訃報は、中国国民の重大関心事となっているようだ。
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