<投資を呼び込み、ルピー安に対応>
インド政府は1日、外国人投資家によるインド株式市場における出資の解禁を発表した。これまでは、個人投資家の直接投資は限定されており、ニューヨーク市場に上場しているインド株(ADR)のみしか買うことができなかった。
1月15日に実施される規制緩和により、インド証券取引委員会に認可を受けている証券会社に口座を持っていれば、各銘柄への直接投資が可能となる。中堅証券会社関係者は「現地の証券会社と提携するか、認可を取得すれば国内でインドの各銘柄に投資できるようになります。大手証券会社は認可を取りに行くと思います。具体的な日程は未定ですが、弊社ではインドの証券会社と提携する方向で動くことになると思います」と話す。国内の各証券会社が認可を取得、あるいは提携が成立後に、日本でもインド株を買うことができるようになる。
インドは、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角として、その成長力に注目されてきたが、昨年は、通貨ルピーが対ドルで最安値を更新するなど、経済状況には不安定さを抱えている。この年末年始には、記録的なルピー安だったため、インドからの海外旅行客が前年より相当数、減少したという。
こうしたなかで、海外個人投資家からの投資を呼び込み、資本を流入させることによってルピー安に対応するため、今回の規制緩和に踏み切ったと考えられる。海外投資家への解禁で、景気減速傾向に歯止めがかかるのか。
<深まる日本とインドの経済関係>
日本とインドの経済関係は強まってきている。昨年(2011年)の8月には、日本インド包括的経済連携協定が発効した。関税撤廃など貿易自由化の方向に動くほか、投資の促進、関連分野の制度整備を図る。これにより、国内企業のインド進出が増えるなど両国間での経済強化が進む見込み。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが行なった意識調査によると、日本国内富裕層投資家が、経済発展と投資リターンの面でもっとも期待する国は、ブラジル、中国を差し置いて、インドだという。
昨年は、インフレなどで景気減速傾向の続いたインドだが、日本との関係強化が先行きを明るくするきっかけとなるのか。個人投資家への直接投資解禁により、国同士、企業間だけでなく、個人においても、注目度が高まる。
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