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既得権をめぐる攻防~筑紫野市浄化槽整備問題
社会
2012年1月10日 14:10

<下水道整備推進で下降線の浄化槽整備事業>
chikusino.jpg 福岡県筑紫野市は交通関連の利便性のよさで、福岡都市圏のベッドタウンとして発展を遂げ、人口は10万人を超えた。他の都市に対しても高いポテンシャルを保つ地方自治体である。そのため、都市機能としてのインフラ整備が急ピッチで行なわれ、今回問題が表面化した廃棄物収集運搬事業も同様に再編と整備がなされている。

 現在、同市では一般廃棄物収集運搬業の許可を与えているのは「ごみ」で3社、「し尿」で3社、「浄化槽汚泥」で1社であり、「浄化槽清掃業」の許可は1社のみである。人口増加ながらリサイクルが定着し取り扱いは横ばいである「ごみ」の運搬収集に対して、下水道の整備事業が進んだことで「し尿」「浄化槽汚泥」の運搬収集は大きく減少傾向にある。それに付随して「浄化槽清掃」の取り扱いも減少。この広い同市において、山間部を中心とした同市民が浄化槽を利用しているだけとなっている。

<数年にわたる許可申請の攻防戦>
 一般に耳にする、し尿運搬収集事業とは別に、「浄化槽清掃業」「浄化槽汚泥の収集運搬」の事業を行なうことを同市から許可されているのは、ともに協業組合筑紫野市浄化槽センター(以下、センター)(理事長:山本節子)だけである。センターには現在3社が加盟しており、同市と業務締結を交わしている。今回の騒動のきっかけは、同市に本社を置く(株)下田衛生社(代表取締役:下田節子、田中直継)が、浄化槽汚泥とし尿運搬収集の許可申請し、同事業に対して事業参加の意向を示したもの。毎年、この許可申請は行なわれているものの、その都度却下されており、この許可申請をめぐる攻防は関係を含め業界内では有名で、まさに周囲は固唾をのんで見守っているといった状況だ。

 センター側は「『下水道の普及に伴う業務量の減少でも、1件の浄化槽の利用者がある限り、センターにその業務をお願いする』としている同市との約束に沿うならば、業務量の激減の現状を垣間見ると新規参入を許可できる状況ではない。しかも、下田衛生社は以前組合員として参入していたが、下田節子氏は廃業を理由に金銭補償の授受をされ、廃業した業務と担当地区へ継承はなされた」として、許可の容認はできないと同市に要望している。

 一方、下田衛生社側は2007年4月に(有)ニーズ・ケイを商号変更し、移行。新たに(株)下田衛生社となった。後に田中直継氏が新たに資本金を1,000万円増資し1,300万円としたことで、名実ともに田中直継氏が同社の実権を受け継いだ。この問題について田中氏は、過去に下田節子氏と親類関係であったことなどを強く挙げて「当事者同士での話し合いではまとまらなかったことは、勘違いなどがあり、結局はボタンのかけ違いになったのかもしれない。しかし、過去、センター内におけるごたごたを(私も)関与したこともあるし、元身内として他人事ではない。センターの運営方針にもおかしい点がある」と改めて既得権の権利と改善を主張。あくまでも許可の申請を行なう姿勢を示している。

<新市長の判断に委ねられる>
 筑紫野市は、先細りしていく事業に新規参入を許可しない考えを通してきた。また、この騒動は既得権をめぐり同センター内での内輪もめからの発展の様相を呈してきたことから事態をさらに複雑化にした。

 過去の遺恨や、さらに新規参入を許せばその分センター内の各社の業容が縮小してしまうためにどうしても新規参入を阻止し既得権を守りたいセンター側。一方の下田衛生社側は下田節子氏が高齢であり、早期に事業参入したい意向とセンター内での運営改善を持ち続けている。

 この小さな許可事業の攻防は今後の市政のありかたにもつながる事であり、状況によっては業界を巻き込む可能性を秘めている。前回は、前市長の平原四郎氏が下田衛生社の参入の許可を下さなかった。法的の不備もあり整備したうえでの許可をすべきとの判断だ。さて、今回は新市長の藤田陽三氏がどういった判断を下すのか。小さな事例だが見逃せない。

【道山 憲一】

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