<梅原先生と同様の認識に至った>
2月2日(木)西日本新聞を引用させていただく。【考・原発、私の視点】(一面)のコーナーにあの日本を代表する哲学者・梅原猛氏が次のように語っておられる。下記引用。
「人類は最初は木を燃やしてエネルギーを得た。その後、石炭、石油を手に入れた。いずれも太陽の恩恵を受けた動植物が起源である。そして原子力からエネルギーを発明した。生活を豊かにするためという近代西洋文明の必然の要求だったと思う。しかし、それは悪魔のエネルギーだったことが明らかになった。原発の再稼働はとんでもないことだ」。
2011.3.11以前であれば国民の大半の認識水準は「なるほど、大先生のおっしゃることは達見だ。素晴らしい」という感心するレベルであった。ところが、だ。国民の大半は次のような本質を知った。「人間は原子力エネルギーを制御できないのだ。悪魔のエネルギーに頼ったら大事する」と皮膚感覚で確信した。それはそうであろう。南北20キロ、東西30キロは20年、いや30年以上も無人空白ゾーンができた事実を目の当たりにしたのだ。梅原哲学者と同等の強い信念を持った。原子力ムラの利権連中が「原発再開」と叫んでも誰もが承知するはずがない。
<少数派の意見が世論となる>
「地震学者がもう少し、大声で叫んでくれば良かったのに」と悔やむ。良心ある地震学者達にとって「日本列島は地震の巣窟だ。この地雷原ならぬ地震原に原発を建設するとはどういうことか!!」という共通意見を抱いていた。我々、国民の耳には容易にこの自然摂理が届かなかった。地震学者の方々が体を張って警告を発してくれたのかもしれないが、金と権力を所有している原発利権集団に圧殺されてきたのであろう。
2011.3.11以降、国民は知った。「地球40億年の歴史の中で日本列島はユーラシア大陸にくっついていたときもあった。氷河時代は大陸からの陸伝いの時期も存在していた。海中に沈没していたときもある。日本列島はダイナミックに変化していたのだ。震度9の地震は日常茶飯事に生じていたのであろう。たまたまこの2万年の間、地球環境、日本列島の周囲が穏やかなコンディションが続いたので人間の文明が繁栄したに過ぎない。たまたまラッキーに生かされてきたのである」と。
「しかし、日本の一部が海面に沈むような自然の怒りがあることも知った。津波の災害復旧は人間の頑張りでどうにか目途はつけられるであろう。ところが、だ。原発事故に対しては情けないほどの人間の無力さに気づいた。「地震原に原発を稼働させることは二度と許すわけにはいかない」と国民の大多数は地震学者の主張通りの発言をする。少数派の意見(【地震の巣窟に原発を造るな!! 】)が、ものの見事に世論多数に転ずる実例は稀有だ。本当に素晴らしいことである。
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