これが原発を表す沸騰水型、加圧水型の違いである。日本には、高速増殖炉や実験炉のほかは、ほとんどがこの2種だ。
次に「○○型」「○○炉」の後半部分を軽く触れておこう。そのままだが、軽水炉とは軽水を使った炉ということだ。軽水とは、いわゆる普通の水のこと。これを冷却材兼中性子の減速材として利用していますよ、という意味である。日本には、高速増殖炉もんじゅ以外は、すべて軽水炉である。普通の水は手に入りやすい、性質がわかっている、中性子を減速させる能力が高いなど、実は非常に原子炉に適したものだと言われている。世界を見渡すと、黒鉛を使ったものや重水を使ったものもある。高速中性子を必要とする高速増殖炉では、中性子を減速させにくい液体ナトリウムが使われているが、周知のとおり、ナトリウム自体が空気と触れると激しく反応してしまうなど使い勝手がすこぶる悪い。それを考えると、やはり軽水は使いやすい熱媒体、減速材と言える。高温高圧の普通の水を使った原子炉、これが加圧水型軽水炉、という言葉の意味である。
電力は今となっては社会に必要不可欠なものとなっている。電気が来なければ、会社の経理は止まるし、通信はできなくなる。電灯がともらなくなって夜は真っ暗になってしまう。その電力をどうやって得るか。火力発電、自然の力による発電などの選択肢のひとつとして原子力発電は存在している。ただ、あまりにも膨大なエネルギーの裏側にある人類の手に余る原子の力の副産物、環境への影響など、他の発電方法では見られないリスクも存在している。
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