「日本の原発は安全です」
この言葉を素直に受け入れるならば、損害など発生しようもないし、まして賠償が問題になるはずもない。実際、この言葉が数学の公理や経典の文句のように間違えのないこととして原子力関連の方々に信じられ、実践されてきた。それだけ確固たる信念の裏には、十重二十重のリスク回避策が練られていることがある。日本は技術力世界一という自負もあったろう。
けれども、2011年3月の大惨事で、はっきりとそれは間違いだったということはわかった。これからは損害発生も、賠償も含めて原子力発電を見直さなくてはならない。それでも原子力を使って発電したいと電力各社が望むなら、自己責任を貫徹してほしいものである。
原発が安全そのもので、後述する原発の問題を完全に解決できたならば、原発はまったく夢の技術である。反対する理由はどこにもない。それに加えて賠償体制までしっかりとフォローしているのならば、言うことは何もない。
それができていない、もしくは、疑念を挟む余地があるのに原発を稼働させることにはまったく反対だ。市場独占を許された電力会社のシステムそのものを考え直すことが求められる事態に面していることを、電力各社は認識していただきたいものである。
これから本シリーズで玄海原発問題を取り上げるにあたって、以下の点を明らかにしていきたいと思う。
1.玄海原発は安全か
2.万一の事故が発生したときの被害
3.事故シミュレーション
4.原発の未来と代替エネルギー
できる限り、問題点を鮮明にしてみたいと思っている。本シリーズに、ご意見があれば、ぜひとも一報いただきたい。それでは、原子力発電と玄海原発、現状と未来を考えていくことにする。
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