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脱原発・新エネルギー

玄海原発を考える(7)~黎明期の原発
脱原発・新エネルギー
2012年2月13日 16:00

 原子力発電はすばらしい科学的な発見と、その実用化という意味で、とても有意義なものであることは間違いない。不安定な原子にきっかけを与えて別の原子へと変化させる。その際に発生する質量の変化による熱を運動エネルギーへ、そして電力へと変化させて文字通り明るい未来をつくる原動力として活用している。物を燃やせば熱がでる。ストーブにやかんをかければお湯が沸く。それと同じことを、物を燃やすのではなく、きわめて小さな原子のレベルでの操作によって、とてつもなく大きな熱を取り出すことを可能にしたのだ。実験室の中での話ではなくて、今、室内を照らす電灯のような身近なものにまで実際に使われている点、実にすばらしいと思う。

 けれども、理論が発表されてまだ100年余、原子力発電が実用化されてまだ60年(ソビエト連邦のオブニンスク原子力発電所が世界初。1954年。実験炉としてはアメリカの高速増殖炉EBR-1が1951年)しか経っていない。人類が火を手にしてから、何千年、何万年の時が流れたろうか。それに比すれば原子の炎の歴史はまだまだ浅い。新たな火を知り尽くし、制御しつくせるようになっているとは言い難いのが現状のように思われる。

 少し個人的な考えを申し上げると、原子力エネルギーは技術が追い付きさえすれば、本当にすばらしいエネルギー獲得方法だと思っている。ただ、問題は、そのメドが立っていないこと、潜在的なリスクが解決しえないことにあるのではなかろうか。

genkai.jpg 玄海原発は、日本における原子力の平和利用の黎明期に産声を上げた。1965年のことだ。安定した地盤、大消費地・福岡に近い立地などの優位性に目を付け、調査を開始したのである。その後70年に設置許可がおり、72年に九電と佐賀県、玄海町が安全確保に関する協定を締結、75年に1号機が初臨界を迎えた。ここまでで分かることは、玄海原発は初期の技術でスタートしているということである。

 54年にソ連の原発が稼働しているじゃないか!と言う方もいらっしゃると思うが、原発というのは大きなプロジェクトである。初臨界からスタート、ではなくて、初臨界させる5年前、10年前に設計がなされている。つまり想像以上に古いものなのだ。

 たしかに「今の」原発は、日々の研究の賜物で安全性が高いものになっていると思われる。その研究の成果を保全、改修などに活用しているとはいえ、玄海原発は大もとの構造自体が古いのである。原子炉に使われている材料自体から違いがある。たとえるなら、戦後すぐに建てられた建物と来年竣工する建物との安全性の差だ。安全か否か、第1点目の指摘は「古い原発である」ということだ。

(つづく)
【柳 茂嘉】

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