「ニッパチ」(2月・8月)と呼ばれる閑散期。去年に引き続き、景気のよい話はあまり聞かない。忘年会シーズンに、2次会、3次会が減少し、中洲の飲み屋が干上がっているという話を書いたが、年が明けると宴会の1次会の場となる居酒屋のほうでも不調という声が寄せられた。店に聞くと、最近は「新年会」という言葉をめったに聞かないという。
小生も、昨年末はおかげさまで方々から忘年会のお誘いをいただき、酒浸りの日々が続いたのだが、年が明けるとお誘いもパッタリと途絶えた。あったとしても、ごく親しい仲間が2、3人が集まる程度。「新年会」と言うより「飲み初め」だ。
先行き不透明な今のご時世、職場のレクレーションも経費削減の波にさらされている。お父さんのお小遣い削減にともない、飲む機会が確実に減っているのだ。このように、庶民が積極的に財政改革を行なっているのにも関わらず、政治や行政はどうなのか。もし、「代わって飲んでやっている!」と、ふんぞり返るのなら、「出会い橋からダイブして那珂川で頭を冷やせ」と、小生は言いたい。
話を戻す。「歓迎会」と「送別会」が合わさって「歓送迎会」、さすがに「新年会」は「忘年会」と合体できないので、吸収されたと見ていいだろう。昔から、子どもが生まれた日によっては、クリスマスや正月(お年玉)などの季節のお祝いごとを誕生日と重ねて祝う家庭は珍しくなかったと思う。
イベントでの出費をおさえるのは店の人間側も同様のようで、今年のバレンタイン・デーにおいて、「いかに安くおさえるか」が大事。いっそのことやめればいいと思うのだが、周りがやっている以上、『脱バレンタイン宣言』は到底できない。したがって、要約すると「チョコをお店に取りに来てね!」というメールの着信音で、小生の携帯電話が騒がしくなる運びとなる。
一方で、チョコを宅配か郵送で届けるのはさすがだと思う。小生などは、その手間を思い、「礼を言いに行かなければ」という気持ちになってしまう。「店に来させる」という営業目的が同じでも、客に与える印象は格段に違う。店にとって、その日限定で来させなければならないという理由はない。"飲むきっかけ"が減っている以上、店側は効果的なやり方を模索していかなければならない。
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長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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