潜在的能力は無限、方向性を定めれば収益抜群な組織に変貌可能
<真面目な社員たち>
14日、来福した(株)さとうベネックの新オーナー大川義廣氏に今回の買収の目的について直撃取材した。大川氏は「実は、佐藤組の商号時代から『なかなかしっかりした会社だな』と、関心を持っていました。株を取得していたネクストキャピタルパートナーズさんから株売却への入札の打診があり応じてみましたが、結果、弊社が落札できたということです」と、経緯を語った。
大川氏はすぐに、さとうベネックの幹部たちと面談を行なったという。第一印象は「社員たちが非常に真面目という」ことだ。加えること東大、九大の建築科卒を筆頭に国立大学工学部卒がひしめいている。建設業に20年以上も従事しておりプライドも高い。「ぜひ、このプライドを活かして収益の高い企業に変貌して頂きたい。また可能だ」と、確信したという。しかし、ただ施主に言われるままに真面目に請負を完遂しても請け負けするような時代である。社員、組織全体に発想の転換が求められている。
また、株を所有していたネクストキャピタルパートナーズ(株)は、さとうベネックに対し、リスクヘッジのために3,000万円規模の小さな工事を受注することを重点的に指導してきた。「これでは建屋として『素晴らしい建築物を世に送りだそう』としているプロの意識を萎えさしてしまいます。雑工事ばかりしていると一方では一瞬にして技術力が鈍らになってしまう危険性もあるんです。再生のメドが立ち社内も『将来の布石をどう打つか』と悶々としている矢先に私との縁ができました。社員の皆さんにとっても私にとってもハッピーでしたね」と、大川氏。
<収益向上を最大の目標に掲げる>
大川氏は「この時代に『九州で一番の完工高のゼネコンになる』と吠えても『可笑しいではないか』と、笑われるのがオチです。今、企業にとって一番の価値となる指針は収益性でしょう。『いくらの利益に挑戦するか』と、社内目標を設定することが大切ではないでしょうか」と、経営哲学を説く。力点を置くのは、社員全体という前に、幹部社員たちの意識改革だ。そのキーワードは『仕事を創る』ということである。
新たなスタートを切るさとうベネックは、最高幹部5名で組織運営決定を行なっていく。従来の受注・仕事をこなしながら、このメンバーで底上げをねらった新たな受注ターゲットの選択作業に乗りだそうとしている。ポイントは不動産の付加価値ビジネスである。「具体的なノウハウは公表できない」と、大川氏はとぼけるが大筋は読める。永年、不動産業界に携わり建設受注への付加する視点には卓越した能力を身につけてきている。ただし、この最高機関5名会議で具体的な計画を練り上げ行動することこそが肝心である。
最後に大川氏は「私はただの経営の助言者です。幹部社員たちが必死で体質改善にトライしていけば中堅社員たちも闘争精神が燃えあがるのではないか期待しています。組織の潜在能力は高く頼もしいです」と、結んだ。
※記事へのご意見はこちら