福岡で働くパワフルな女性たちを紹介する「なでしこシリーズ」も第7回目を迎える。今回のなでしこは、ママライフをもっと豊かにするための地域密着型実名制SNS「ママ&シェア」を立ち上げた菅原聡美さん。自身で男の子3人の子育てを経験しながら感じてきた問題意識をもとに、ママ向けSNSサービスを立ち上げたその想いについてお話を伺った。
<家庭に埋もれている子育て女性のスキルがもったいない!>
13年前に夫婦で起業した後、3人のお子さんを出産し、約7年間の子育てと経営管理の仕事を両立させてきた菅原氏。「世間では母親は家事も育児もすべてできて当たり前という見られ方をします。しかし、私は元々家事が苦手で、正直一人の力ではとてもこなせず悩んでいましたが、周りの人に頼ることでこれまでやってこれました。」と自身の経験を振り返る。
第1子出産当時は、周りにワーキングマザーはほとんどおらず相談相手もいなかったというが、好きな仕事と家庭の両立をしたいという強い想いを持ち続け、自力で周りの協力を得られるように道を切り開いてきたそうだ。
そんななか、菅原氏はママ社会に身を置きながら常に感じていたことがあった。キャリアや特殊なスキルを持つ女性が、子育てや主婦業を抱え込むことで仕事との両立を諦めるのは、ポテンシャル高き女性のスキルが家庭に埋もれてしまって本当にもったいないと。
<ライフワークとして母親社会の変革に貢献し続けていきたい>
特に乳幼児期は、同じ悩みを持つ母親と知り合う機会が少ない。そんな子育て環境に強い問題意識を持っていた菅原氏は、自身の会社が軌道にのり、組織化が進んで、子育ても落ち着いてきたところで、次のステップとして、母親社会の変革というテーマに向かって行動を始めた。「年齢に関係なく長くやっていける女性ならではの貢献がしたいと思った。ライフワークを見つけた感覚。」と菅原氏は目を輝かせる。
<支え合う事の大切さ>
近年、核家族化が進み、晩婚化による高齢出産も増え、近くに頼れる親族や仲間がいない母親は孤立してしまいがちになる。「一人で子育てしていると本当にまとまった時間が作りにくく精神的にも息詰まってしまう。人に頼りながら支え合うことでそれぞれの母親にゆとりができたり、やりたいことの背中を押してもらえたりする。そういった昔ながらの地域の繋がり・関係性を持てる環境が大事だと思った。」(菅原氏)
そこで、SNS(ソーシャルネットワークサービス)という最新の技術を使えば描いていた想いを実現出来るかもしれないと感じた菅原氏は、妊婦・母親専用の実名制地域密着型SNSサービス"ママ&シェア"を立ち上げた。
2011年8月にサイトオープンしてから約半年が経ち、現時点で登録者数は550名を超え、多くの母親達が悩みや経験談、日常の知恵やスキルをサイト上でシェア(共有)している。
企業からのオファーもあり、ママ&シェアに登録している母親が集まってママ向け商品の開発会議へ参加するなど、新しい取り組みも始まっている。
「母親が気持ちの余裕を持つことは、育児の質をあげるためにも必要だと思う。個人で完結してしまわずに、皆で助け合ってそれぞれが持つスキルをシェアしていくこと、そしてそれを家庭内だけでなく社会の中に活かしていくことで、閉鎖的な母親社会に良い循環をもたらしたい。」そう菅原氏は語る。
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▼関連リンク
・ママライフをもっと豊かにするための「ママ&シェア」
<プロフィール>
菅原 聡美(すがはら さとみ)
福岡県出身。私立筑紫女学園中学校、高等学校を経て、青山学院大学文学部英米文学科卒。大学卒業後、金融コンサル会社に社長秘書として勤務。2000年、(株)アステックペイントジャパン創業、2009年、新規事業(株)プロタイムズ・ジャパン創業を経て、2011年 (株)ソーシャルパートナーズ&シェアにて新規サービス「ママ&シェア」を創設。福岡の子育て中母親専用のソーシャルネットワーク創造を通して、子育て女性を支援している。
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