年明け早々1月8日から16日まで、中央アジア並びに中東地域を回ってきた。アラブ首長国連邦(ア首連)では「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の総会にも出席。相変わらず行きも帰りも機中泊。その上、真冬の地(中央アジア)から真夏の地(中東)への移動(気温差約40度)という強行軍。とはいえ、新たな出会いや発見の連続で肉体的にも精神的にも刺激に満ちた旅になった。
まずは、モスクワに立ち寄り、3月に近づく大統領選挙をめぐる動きを観察。その後、キルギス共和国に飛んだ。今年は日本・キルギス外交関係樹立20周年にあたる節目の年。同国では2011年10月に中央アジアで初となる民主的なプロセスによる大統領選挙が実施され、新政権が発足したばかり。アタムバエフ大統領やババノフ首相はじめ、各界の指導者と相次いで会談した。
旧ソ連から独立して20年を迎えたキルギス。その間、日本は一貫して同国の民主化、市場経済化に向けての支援を継続している。
国境を接する中国からはさまざまな生活物資が流入しているが、中国の狙いはキルギスに眠る未開発の地下資源である。レアメタルの宝庫といわれるだけあって、アメリカからも資源の共同開発の申し出が続いている模様。わが国では昨年、中国からレアメタルの輸入をストップされ、精密機械や自動車産業が苦境に陥った。そのことを思い起こせば、キルギスの誇る天然資源は新たな安定供給先として確保したいところである。
幸い、キルギスは実に親日的なお国柄。見た目もキルギス人と日本人は見分けがつかないほどだ。会う人ごとに「兄弟、兄弟」と呼びかけられた。そんな親近感もあってか、同国の首脳陣からは「レアメタルの探査と開発には日本に協力してもらいたい」と猛烈なラブコールがあった。
なかでも、アタムバエフ大統領曰く「日本という国があって本当によかった。われわれは日本人を国づくりや人づくりの模範としているからだ。是非とも力を合わせて、より良い世界を築きたい」――そうした期待に応える日本でありたいとつくづく思った。現在、両国間で環境保全と資源開発の協議が始まろうとしている。
引き続き、隣国のカザフスタン共和国でも大統領の外交顧問らと会談を重ねた。キルギスと比べれば、国民総生産で10倍近い規模を誇るカザフスタン。その分、自動車の数も多く、排気ガスによる環境悪化が深刻な問題となっていた。加えて、一般家庭では暖房源に石炭を使っていることも大気汚染に追い打ちをかけているようだ。この分野でも日本の経験に基づく技術協力や環境対応型の自動車、暖房器具の輸出が期待されている。
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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。現在、外務大臣政務官と東日本大震災復興対策本部員を兼任する。
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