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未来トレンド分析シリーズ

未来産業国家・日本の武器は再生可能エネルギー戦略(2)
未来トレンド分析シリーズ
2012年2月27日 16:00
国際政治経済学者 浜田和幸

sora_5.jpg 12日から15日にかけてはア首連を訪問。ドバイでは世界一の高さ828メートルを誇る「ブルジュ・ハリファ」と呼ばれる超高層ビルが砂漠の地にそびえ立っている。高級ホテル、豪華マンション、オフィス、ショッピングセンターなどが入り、中国や欧州からのビジネスマンや観光客で大賑わい。なかでも、世界一を謳い、ギネスブックにも登録された巨大なガラスの壁面に囲まれた水族館は圧巻だった。この世界最大のガラスはどこにも宣伝されていないが、実は日本製。

 この高層ビルはトム・クルーズ主演の映画『ミッション・インポシブル』の舞台としても人気急上昇中のスポット。数日前に予約しなければ展望台に登るチケットの入手は困難なほど。ちなみに、展望台のチケットは東京の新名所として期待の高い「スカイツリー」より高く、ここでも世界一を売りものにしているようだ。

 問題はこうした超高層ビルの建設ブームが経済崩壊の引き金になる傾向が見られることであろう。かつてニューヨークのクライスラーやエンパイア・ステート・ビルが世界大恐慌を引き起こしたことを想い出さざるを得ない。実際、ドバイでも2010年に経済危機に陥り、お隣のアブダビから緊急資金援助を仰いで何とか凌いだことは記憶に新しいところ。

 心配されるのは現在、世界で最も高層ビルが密集し、今も建設ラッシュが続いている国は中国だということ。世界各地で建設中の超高層ビルの過半数は中国にある。中東のみならず中央アジアでもビル建設やインフラ事業に積極的に乗り出している中国企業が目立つが、いずれ第2のニューヨークや第3のドバイになるのでは、と大いに懸念されるところである。杞憂に終わればよいのだが。

 さて、14、15日には冒頭に述べたアブダビでのIRENA第2回総会に出席。IRENAとは、再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力、海洋潮流など)の利用促進・普及を目的として2010年7月に発効した、できたてほやほやの国際機関である。化石燃料や原子力に代わる自然エネルギーの活用を促進するため、分析・検証・体系化、政策上の助言、途上国の能力強化支援などを行なうことが使命だ。現在、アメリカをはじめ73カ国と欧州連合(EU)が加盟しており、日本は21カ国からなる理事国の1つである。

 小生は副議長として、日本が誇る次世代エネルギー開発の現状や省エネ技術を紹介しつつ、「3・11大震災」以降の原子力政策についても議論をリードすることができた。
総会中に開かれた「太平洋リーダーズ会合の報告に関するセッション」では、日本は福島の原発事故を受けてエネルギー政策を見直しており、再生可能エネルギー導入を加速する意向をもっていること。また、今年5月の第6回太平洋・島サミットにあわせて、沖縄県でIRENAと共催で太平洋島嶼国における再生可能エネルギー推進のためのセミナーを開催予定であることを紹介した。

 また、「2012~15年のIRENAの中期戦略に関する閣僚級ラウンドテーブル」では、再生可能エネルギーの導入・普及に向けた国際協力において、単に技術の移転・共有を進めるのではなく、互助的な精神に基づき人道的な側面を考慮しながら相手国のニーズ等を理解した上で推進することも有益であることを強調した。

 要は、IRENAの組織を肥大化および開発援助機関化するのではなく、卓越した知的拠点としての地位を確立し、関連する国際機関などと協調しながら地道な活動を進めていくことが重要であることなどを指摘したわけで、多くの参加者から共感を得ることができた。

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<プロフィール>
浜田和幸氏浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。現在、外務大臣政務官と東日本大震災復興対策本部員を兼任する。


 
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