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輝く九州の女性たち

福岡を元気にするなでしこ(9)~須貝りさクラシックバレエPROAX主宰、須貝りさ先生(2)
輝く九州の女性たち
2012年2月27日 16:00

<限界を決めているのは、良くも悪くも自分>
0227_PROAX_2.jpg 10歳にも満たぬ子どもたちは、無限の可能性を秘めている。鍛え方次第でしなやかに踊れるようになるし、憧れのプロダンサーを目指して自分を変えていくこともできる。でも、今までの経験上、自分にできることと、できないことがあると気づいてしまった大人たちに、変化を強いるのは難しい。


 PROAXという言葉に託された意味のひとつを思い出す。そう、――プロフェッショナル―-という言葉だ。とても難しいことを求められているような気がする。もう変わることも難しいのに、これからプロフェッショナルを目指すなんて、無理だ。

0227_PROAX_1.jpg しかし、須貝先生は「限界を決めているのは、自分たちですよ」と、言う。「私たち、指導する立場にあるものはバレエのプロだから、私たちがやることをいきなり真似しようとしても無理でしょう。でも、上達したいという姿勢については、経験の浅い人たちも私たちと同じようにプロ意識を持つことができるのです。よくも悪くも自分次第で人は変わります。体だってそうです。開脚のトレーニングをして、これ以上足が開かない、もうダメだ、と思えばそれまでですが、あと一ミリ筋肉を伸ばし、一秒でも長く同じ姿勢を保とうとすれば、それだけで体は昨日までの体より進歩していくのです。プロが、負荷の高いトレーニングを行なうことと、初心者が「あと一ミリだけ筋を伸ばしたい」と考えることは、どちらも同じ、プロ意識の表れです。よく"自分は歳だから(無理)"とおっしゃる方がいるけれど、そんなことはありません。体のしくみさえ理解し、体に合ったトレーニングができれば、いくつになっても体を柔らかくすることはできます。例え少しずつでも」

 たしかに「私には無理かもしれない」と考えた時点で、心に自己否定のバイアスをかけてしまっていた、と気づく。

<毎日、プロに近づいていく>
 そこで考えの方向性を少し変えてみる。そもそも無理とは、何と自分を比較して出した結論なのだろう。もしかしたら、経験もないのに、いきなりプロダンサーの完成された踊りを想像し、比べてしまったのではないか。それが無謀だということは、子どもたちにだって、わかるだろう。こんな当たり前のことを言い訳にして、自分の可能性を否定していたのか。

 プロ意識は、努力せずにプロと同じ評価を期待する心のなかには芽生えずに、常に自分の可能性を信じ、昨日より今日をより良く生きようとする心のなかから芽生えるものなのだ。いきなりプロと同レベルに到達するのは無理にしても、近づいていくことは、誰にだってできる。

<毎日ひとつ、何かを習得すること>
0227_PROAX_3.jpg 要するに、須貝先生がバレエ教室の子どもたちに教えているのは、プロ意識が芽生えるような心のあり方らしい。自分の現状を把握し、プロとの格差を認識し、その溝を埋めていくには毎日何をすればいいのかと考えることから始めてみる。できることを少しずつでもこなしていけば、プロに近づいていくことができるだろう。そして、少女期の須貝先生のように、日々の練習をたのしんで行なうことができれば、プロとの差は加速度をつけて縮まっていくに違いない。

 子どもたちには、レッスンに来るたびに、何かがバレエの基礎技術がひとつできるようになるよう教えている。そして、なぜできたのかをはっきりさせて覚えさせる。そうすれば、上手になるためには、毎日何をすればいいのかわかるようになっていく。
子どもが大人と違うところは、プロと自分の格差を大人ほどには認識できないことだ。だから教える立場の者が生徒ひとりひとりのレベルや癖を見極めて、その子どもに合った指導をする必要がある。なかにはまったくの初心者がいて、拍子のとり方から教えたこともある。そんな子でも、一とおり、バレエが踊れるようになるまで、成長して巣立って行く。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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▼関連リンク
・【夕刊 NET-IB】子ども達の未来のために~ヤル気を育てるバレエ教室

<プロフィール>
0222_risa_p.jpg須貝 りさ(すがい りさ)
須貝りさクラシックバレエ PROAX主宰。1988年、深沢和子バレエ団(現バレエ団芸術座)93年帰福し、「須貝りさクラシックバレエ」設立県内各所のスタジオ・スポーツクラブなどでバレエ指導に携わりながらバレエ協会九州北支部、新国立劇場などの舞台に立つ。2000年、西区姪浜にスタジオを設立、後進の指導にあたるローザンヌ国際バレエコンクール主宰、指導者特別コース終了現在A・O・D・T会員バレエグループ「ひめの会」所属。01年「コッペリア」全幕、03年「くるみ割り人形」全幕、05年「ドン・キホーテ」全幕など、隔年ごとに古典作品を発表し続け、07年には「西区フィルハーモニーオーケストラ」・指揮 水﨑徹との「くるみ割り人形」全幕を発表し好評を得る。自身もそれらの作品や新進振付家によるコンテンポラリー作品などを踊るとともに、後進の育成にも力を入れている。  

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2012年3月14日 15:41
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