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資生堂の中国戦略(中)~日本的「おもてなしの心」でトップブランドへ
特別取材
2012年3月 1日 15:11

<美容部員の教育を徹底>
 化粧品は、ほかの一般消費財と違って置いてあるだけではなかなか売れない。商品を説明し、理解してもらい、顧客の肌にぴったり合う商品を提供するという過程が大切。当時の中国には、顧客の立場に立って接遇するというサービスの概念がないに等しかった。90年代までの中国の商店では「お釣りを投げて返す」というのは、半ば当然かのように行われていた。

 顧客に一番近い美容部員(接客販売をする担当者)の教育に力を入れた。商品知識をはじめ、接客方法、美容相談への応対、笑顔、身だしなみ...。1923年からの長きに渡って日本で培ってきた資生堂流の「おもてなし」の接客術を現地の美容部員に徹底した。

 「おもてなし」という言葉は、日本ではすぐに通じるが、すべての文化圏で通用するわけではない。研修を重ね、丁寧さ、細やかさ、礼節...といった、日本独特のおもてなしの考え方を理解させていく。

 日本以外の文化圏で育った人々には、「何だかよく分からない曖昧なもの」を、美容部員や地元スタッフの間に、きちんと分かるように諭し、浸透させて、店の持つサービス力を高めた。

 化粧品を売るだけではなく、商品の詳しい情報提供から上手な化粧の仕方までをトータルでサポート。「資生堂の売り場に行けば、自分の肌にぴったり合う化粧品を提供してくれ、美容の相談にも応じてくれる」という現地女性にとって、それまでになかった付加価値を付与したことで人気は高まっていく。

<中国向けに開発したオプレが成功>
薬局向けに「DQ」を販売 94年に中国専用のブランド「オプレ」を発売。中国人の肌、中国の気候風土、原材料を詳細に研究して開発したスタンダードな化粧品。日本と比べると、乾燥地帯の多い中国。現地女性のニーズに応えた製品を高級デパートなどで販売し、ハイクオリティのブランドイメージを確立したことで、女性たちの「憧れ」的存在に。使用感のよさだけでなく、中国女性の美意識にマッチしたことで絶大な支持を得た。

 現在は世界88カ国に進出している資生堂だが、その国だけのブランドを構築したのは、中国だけ。00年、04年にオリンピック選手団の公認化粧品に認定され、国民的ブランドへと成長を遂げた。

 その後も、グローバリゼーションと同時に、ローカリゼーションを推進していく。中国女性の美意識、嗜好の変化をリサーチし続け、開発に生かしている。

 10年には、薬局向けに、肌トラブルが起きにくく、健康肌を実現する「DQ」というブランドを構築し、成長路線に乗せた。「DQ」には、日本人だけでなく、中国人の肌を30年に渡り研究し、蓄積してきた開発力が生きた。

(つづく)
【岩下 昌弘】

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