(株)西通りプリンは2月29日、東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。負債総額は約2億5,000円が見込まれる。
同社は、2006年3月創業。オーナーパティシエで現代表取締役の高木久美子氏が作ったプリンを黄色い移動式ワゴン車の店舗で中央区天神・大名西通りを中心に販売を始めたことがきっかけ。プリンを西通り店、薬院店、西鉄大橋店、大丸福岡天神店、福岡空港店の5店舗で販売するほか、他地域での出張販売やインターネットによる通販なども行なっている。
マスメディアに取り上げられたこともあり、若年層を中心に一定の知名度を有している。かつては行列が出来るほどの繁盛店であったが、近年は販売不振が続いていた。記者が店員に「一番人気の商品は一日平均何個販売しているか」を尋ねると、答えを詰まらせた。
販売不振に陥った原因として、考えられるのは競合の激化。特にコンビニにおけるスイーツの販売が好調なことが挙げられる。プリンをはじめ、ロールケーキ、エクレアなど手頃なスイーツを各コンビニが取り揃えている。どこでも購入できる手軽さや、種類の豊富さから「ちょっとしたご褒美に買う(20代・男性)」「購入して家で手軽に食べられるうえ、目移りするくらい種類が多くよく利用する(30代・女性)」など人気が高まっている。
同社のプリンはこだわりの商品だとしても、コンビニやスーパー等で販売されているプリンと比べると割高である。そのうえ、プリンのみでの店舗展開で、消費者が真新しさを感じずリピートにはつながらなかった可能性がある。店舗は比較的人通りの多い地区でテイクアウトのみでの展開だったが、手軽さではコンビニには及ばない。常に変化する消費者の嗜好、ニーズを掴むことは容易ではなかったようだ。
同社は自力での経営の立て直しを図っていたが、法的手続きをとっての再建を目指すこととなった。同社関係者によると「現在スポンサーを選定中で、営業は続けていく」とのこと。どこまで消費者の心をつかめるかが、今後事業を再生できるかどうかの鍵となるだろう。
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