<木を見て森をみない厚生労働省!>
今、就職活動(就活)をしている学生たちに"大きな"波紋が拡がっている問題がある。いわゆる、岩波書店「縁故採用」問題だ。新聞によると、憲法や人権など硬派なテーマで出版界をリードしてきた岩波書店が2013年度の社員募集要項で、「著者か社員の紹介」があることを採用の条件としたことが批判されている。縁故採用に限定するような印象を与える為に、厚生労働省が調査に乗り出す事態になったという話である。
筆者は、岩波書店と何の関係もなく、又「縁故採用」を肯定しようとは全く思わない。しかし、厚生労働省というところは、何と暇で、世間知らずで、しかも本質を見ることができない役所なのか。
現在、上場企業は東証一部、二部、マザーズの総計で約2,300社ある。全社に、過去において「縁故採用」が全くなかったかどうかをアンケートでとってみるとよい。勿論、正直に答えない場合の罰則規定を付けてだ。おそらくゼロになるだろう。
出版社で、憲法書や人権など硬派のテーマを扱っているのは岩波書店だけではない。
講談社、小学館、集英社、新潮社、文藝春秋等の大手は勿論、有斐閣、ぎょうせい、法学書院等の法律、人権に関するテーマを扱うことが多い出版社にも聞いてみるとよい。新聞もTV局も同様である。NHKがこの問題をどのように扱ったのか知らないが、NHK社内で石を投げれば、政治家、財界人やいわゆる文化人の2世や、その縁故で入ったものに当たる。
「公正な採用選考を呼びかけている国の立場からすると見逃せない」(厚生労働省就労支援室)官僚に国民は、このような"重箱の隅を突っつく"場当たり的なレベルの低い対応を期待していない。就活市場の混乱を棚上げして、「魔女」狩りをしてどうするのだ。難問を先送りし、易しい問題で得点を稼ぐのは厚生労働省(霞が関官僚)の専売特許だ。彼らは、2,3年で全く別の部署に異動してしまうからだ。
自分たちを棚に上げて、報道してしまうマスコミも、お笑いを超えて、全く情けない。
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<プロフィール>
富士山 太郎 (ふじやま たろう)
ヘッドハンター。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。財界、経営団体の会合に300回を超えて参加。各業界に幅広い人脈を持つ。
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