<強力なリーダーシップを持つ『働き者』>
球磨地区で味岡和國氏を知らない人はいないと言っても過言ではない。同地区を拠点とする味岡生コンクリートグループは、生コン製造会社を東は滋賀県。南は鹿児島県まで11社19工場。建機リース会社など関連会社6社を統率し、100億円の売上高を誇る。
地元経済のみならず、地域活性化の活動にも積極的に取り組んでおり、取材当日も、「きのうは多良木町の祭り(毎年行なわれる同地区の「ゑびす市」。味岡代表は多良木町商工会の会長を務める)がありまして、その陣頭指揮を行なっておりました。様々なイベントなどで盛大でしたよ」と、語っていた。
ひと言で述べると味岡代表は『働き者』である。剛腕で強力なリーダーシップがクローズアップされるが、その一方で、きめ細かな仕事ぶりもうかがえる。市場が分裂し、無法状態であった大分中央生コンクリート協同組合をまとめ上げ、共同販売へのメドが立ったことに関しては、味岡代表の存在が大きい。
<ダンピングが当たり前、大分生コンの混乱>
「設計価格で1m35,500円、販売価格が1m34,000円台で推移しておりました。酷いときには1m33,000円台で販売されていたのです。これは商売ではありません。(5年前から同地区では実質、工場各社がダンピングし、協同組合としての機能は停止状態。同地区業界関係者から、味岡代表へ立て直しに力添えをして欲しいとの相談があった経緯がある)
以前にも話しましたが、大分刑務所の新設工事もダンピングされた生コンが使われています。4,000円や3,000円台の生コンの品質に対して心配になるのが普通です。また、ほかの物件でも少しでもダンピングされた生コンを購入する事態が多発しました。工事途中でも安い生コンに乗り換えてしまうということも・・・。
『自社工場さえ良ければ良い』という、生コン製造会社4社が悩みの種でした。一方を立てたら、他方が異議を述べる。その繰り返しで、組合を再構築しようとしても、すぐに振り出しに戻るような状態でした。そして、大分中央の生コンは、"日本一安い生コン"というレッテルが張られ、生コン自体の品質も懐疑的に見られるようになったのです。
そして、『安いだけではいけない』と、品質を重視するようになった建設業界から、『適正価格に戻すように組合の再構築を仕上げてくれ』との話がありました。このような流れで、組合を再構築して適正価格に戻そうという機運が、ようやく高まってきたのです。いまだ首をタテに振らない工場がありますが、もう待ったなしです」(味岡代表)
ユーザー側へリリースされている同地区の共同販売価格は、土木標準1万円/m3、建築標準1万300円/m3である。味岡代表の献身的な組合再編活動が功を奏した。
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