<合理的ではない行列>
東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじが、14日まで発売され、これまで1等が多く出たことで知られる西銀座チャンスセンターには、恒例とも言える長い行列ができていた。
宝くじファンの間では縁起がいいとされる1番売り場の待ち時間は1時間超。ほかの2番、3番売り場では、並ばずにスムーズに買えるにも関わらず、こちらで買う人はあまりいない。当選確率は、当然、どの売り場で買っても同じ。千葉県から買いに来たという40代女性は「初詣のような感覚で、ここ数年、銀座で買っています。銀座まで来たからには1番売り場に並んで買います」と話す。縁起ものと似たようなものか。
この並ばなくてもいいのに並ぶという無駄な時間を費やす行動は、合理的ではない。行動経済学に、「人間は感情で動く生き物であり、時に合理的ではない行動をしてしまう」という考え方がある。
本来、2番で買おうが、3番で買おうが同じなのに、「1番売り場で買いたい」という感情の集まりが行列を形成。イベントのような感覚で「並んで買った」という満足感を得るために並んでいる。
<大勢順応性が高い日本人>
周囲のトレンド、流行に従う傾向を「大勢順応性」といい、日本人はこの「大勢順応性」が高い。バブル期の株価が適正価格を越えて、どんどん上がっていったのも、この「大勢順応性」に起因し、やがて崩壊を招いた。個人も、集団でさえ間違う。
この合理的でない「行列を作る」という行動に、日本人の国民性の長所と短所が浮かび上がる。長所は、礼節、儀礼を大切にし、誰にでも丁寧に接することのできる国民性。これは、大事にしたい。
短所は、人の集まるところに、いいものがあると考えてしまう国民性。行列ができていれば、その店はおいしいとか、誰もが買っていれば、その品物は価値があるとか安直に考えてしまう。必ずしもそうではないだろう。「自分の頭で考えることをしない」という短所。あくまで国民性だが、この短所を解消しないと、「何でも起源だと主張する韓国」や「自己主張が強く、譲らない中国」など濃いアジア勢との対峙が厳しさを増すだろう。
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