<文部科学省と日本英語検定協会が癒着?>
文部科学省は、2012年度に各都道府県で公立中学校・高校の計8校程度の生徒に、「実用英語技能検定(英検)」を国費(税金)で受験させる事業に乗り出した。半数は外国人教員らによる英語指導を充実させた「拠点校」に充て、一般校の成績と比較する。英語力の底上げに向け、指導法の改善につなげるのが狙いだ。ただし、学力調査が目的の為、受験しても英語能力の資格は付与しないという。
「拠点校指定や英検の背景には、"使える英語"の教育が遅れている」(文部科学省)ことにあるという。日本は、英語能力試験「TOEFL」の国別比較(2010年)で、アジア30カ国中27位と著しく低い。そこで、文部科学省はこの事業を5年継続し、拠点校も増やしていく考えである。拠点校では、英会話のクラブ活動などを通じ、授業以外でも英会話に触れる機会を大幅に増やす。指導法の効果は一般校との成績比較で検証する。
最近の文部科学省(霞が関官僚)と政府には、全く驚かされる。次から次へ、意味不明な事業の推進が、国民の知らないところで政策決定されている。
内容は、まるで、中高生の生徒会ようだ。野田総理は、まだ「松下政経塾」の生徒会長のような認識なのだろうか。この記事に強い不信感を覚えるのは、筆者だけではないと思う。
小学校からの英語教育導入に反対する人、英語偏重の語学教育に違和感を覚える人はとても多い。さらに、楽天、ユニクロ等に代表される「英語社内公用語化」及び過度とも思える「社内英語研修」に強烈な嫌悪感を感じる人も多いことは知っている。しかし、ここでは敢えて、焦点を絞るために、このテーマについては触れない。日本人の英語能力が、向上しないより、向上した方が良い程度に留めておきたい。
問題は、なぜ、その解決手段が、「英検」を国費(税金)を使って受験させることになるかだ。「英検」は、ガラパゴス島・日本島民の間でしか、通用しないことは、今では中学生だって知っている。
「英検」で、例えば、中学校卒業程度という3級に合格しても、"使える英語"が身についた指標には全くならない。
「英検」の運営母体である「日本英語検定協会」は、約2年前に私物化・不明朗会計で問題となり理事長が辞任した「日本漢字能力検定協会」と、同じ文部科学省の所管である。
同時期、「日本英語検定協会」も旺文社との不鮮明な関係が疑われ、当時、旺文社社長と同協会理事長を兼任していた赤尾文夫氏が理事長を辞任したばかりだ。現在も、旺文社と同協会本部の住所は全く同じ東京都新宿区横寺町55である。
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<プロフィール>
富士山 太郎 (ふじやま たろう)
ヘッドハンター。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。財界、経営団体の会合に300回を超えて参加。各業界に幅広い人脈を持つ。
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