<ガラパゴス島・日本島民"御用達"の「英検」>
前回、中高生で"使える英語"の教育が遅れているという理由で、「英検」の中高生の国費(税金)受験はおかしいと述べた。
英検は、50年の歴史の中で、約40年間、文部科学省の「認定」を受けてきている。(2006年からは「後援」)その設立や歴史的経緯から、文部科学省の
天下り先の一つと疑われている。このことこそが、日本の"使える英語"の習熟を遅らせてきた原因という有識者さえいる。
今回の、文部科学省の論理には、明確な矛盾がある。文部科学省は国別ランクの比較は「TOEFL」で行っている。「英検」はガラパゴス島・日本島民には、"御用達"であるが、世界からは相手にされていないからだ。
「TOEFL」のランキングでは、確かに、日本はアジア諸国30化国中で27位(2010年)である。1位はシンガポール、インドが2位、9位韓国、16位中国、モンゴルも日本より上位で24位だ。
文部科学省はこのことを憂い、日本人(中高生)の「TOEFL」の順位を上げたいようである。そうすると、まともな神経であれば、「TOEFL」を国費で受験させるという展開になるのではないか。
しかし、それが、今回は、「TOEFL」には見向きもしないことはもちろん、「英検」に比べれば、"使える英語"の観点から、はるかに、社会人に支持・評価されている「TOEIC」も飛び越して、「英検」を採用という結論に
なっている。
それにしても、文部科学省のこのなりふり構わない焦りはどこからくるのか。「英検」の受験者が激減しているのか。今回の強引さに関し、"きな臭さ"を感じている国民は多い。「教育」と言えば、何でもOKすると思っているのだろうか。
実は、もっと大きく、根本的な問題がある。学習や試験は、身銭を切って、受けなければ、絶対に真剣にはなれない。その結果、実力もつかない。さらに悪いことに、今回は学力調査が目的である。受験しても、「資格」はもらえない。真剣に受ける学生は1人もいないとさえ予測できるのだ。
今、世の中は、政府の掲げる"消費税増税"問題で大騒ぎだ。しかし、この他にも山ほどある不可解な税金の無駄使いを改めるのが先だ。その上でないと、国民は"増税"には、決して納得しない。
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<プロフィール>
富士山 太郎 (ふじやま たろう)
ヘッドハンター。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。財界、経営団体の会合に300回を超えて参加。各業界に幅広い人脈を持つ。
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