受験に合格してしまえば勉強しなくてもいいと思っている日本の大学生たち。
グローバル競争が激しくなり、国立、私立の各大学間でも競争が激化している。現在の大学教育は、将来の日本にとって、役に立っているのか?
欧米の大学の教育と、日本の大学教育の間に差が開きすぎていないか?本当の人材教育とは一体何なのか?少子化時代でも勝ち残る大学とはどんなものなのか。ツイッターなどで舌鋒鋭く持論を展開する大学研究家・山内太地氏に聞いた。山内氏が、「だらしなさすぎ」の日本の大学と大学生に喝を入れる。
<勉強しない日本の大学生>
ここでの議論で、「最近の若い奴はダメだ」的な論を展開する気はない。
1980~90年代に大学生だった世代もおそらく勉強しなかったであろうし、「受験が終わった日本の大学生は、4年間くらい勉強しなくても許される」という長い間の暗黙の了解が、現在の日本の大学を作ったと考えている。しかし、安寧を楽しんでいい時代は終わった。
これからを担う現在の学生たちの世代は、卒業後、欧米だけでなく、中国、韓国など経済発展著しいアジア勢に加え、ロシア、ブラジルなど資源大国と真っ向から対峙しなければならない。
現在はまだ、日本が高度成長期から培ってきた貯金のもとに、企業にも、中国や韓国より先に経済発展してきた分の蓄積がある。組織力でも現在は、日本のほうが上だろう。しかし、これから、中国、韓国などのアジア勢が技術力、組織力の両面で追い上げてくれば、その80~00年代にリードしてきた「日本」というネームバリューはなくなる。人材と人材の勝負になる。そうなれば、質のいい勉強をしてきた優秀な人材のいるほうが、勝つだろう。
「世界各国の一流大学の大学生たちは、ハードな勉学に耐えている。マサチューセッツ工科大学(MIT)では、勉強が厳しすぎて死人が出るほど。それぐらい勉強している。それなのに、日本の大学生は、ゴロゴロしている。これでは、グローバルな戦いになったときに、打ちのめされますよ」(山内氏)
著書「アホ大学のバカ学生」(共著・光文社刊)などで、だらしない大学、大学生を舌鋒鋭く切っている大学研究家・山内太地氏は、日本の行く末に危機感を募らせる。
アメリカの大学を例に挙げると、まず、勉強する量がケタ違いだという。「MITやイェール大などアメリカの名門校では、山のように宿題が出ます。授業の中身も濃い。少人数で行ない、徹底してディベートも行ないます。あるプリンストン大の学生は、『3時間しか寝る時間がない』と言っていました。黙って、授業を聴いているだけでは卒業できないから必死で勉強しているんです」(山内氏)
先駆けて発展してきた欧米の大学は、安住することなく、教育水準をますます高めている。
悪く言えば欧米の二番煎じだった日本の大学は、80年以降、旧態依然として、改革が進んでいない。どころか、改革しようとしていない。
アジアの学生たちは、日本に追い付き、追い越せと、ハングリーに学んでいる。
各国の大学生たちは必死に学んでいるのに、日本の学生たちは受験が終われば遊んでいる。事態は深刻なところまできている。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら