<もっとハングリー精神を>
以前は、新入社員になれば、会社がビシバシとビジネスマンになるスキルを磨くための研修を積ませてくれたが、これからはそうではない。よりグローバル化すると、大学を卒業するまでに学んだスキルが勝負を分ける。
「過激な言い方かもしれませんが、今、中国人が日本の牛丼屋でバイトしたりしているように、その状況が引っくり返ることもあり得る。上海の牛丼屋で、中国人の社員の下で、日本人がアルバイトとして働く。それも、大卒の人がバイトするという状況が、近い将来あり得ると思っています。ユニクロなどの企業も、中国人だけになってしまいますよ。それぐらい深刻です」と、現状に満足している大学関係者、大学生の危機意識のなさを指摘する。
「日本の学生も、もっとヒーヒー言って、つらい思いをして勉強しなくてはだめ」と叱咤する思いだ。
<「人材が流出すればいい!」>
「お父さんの雇用が守られて、大学を卒業した子どもの就職がない」という状況について、山内氏は「大卒者の就職がない。スペインなども同じで、世界的な悪い流れに日本も乗っている。小中高から大学、企業まで、人材育成のあり方を変えなければならない」と話す。
2000年あたりまでは、大学を出ていれば、勉強していなくても就職できた。でも、今は違う。それでも日本の大学生は、10年前と同じ感覚で勉強しない。大学側も変えようとしない。
「10年前に予測できなかったのはしかたない。現在は、人材教育のあり方を変えないと日本全体が衰退するのは目に見えている。わかっているのに変えない、というのは、末期ですよ」。
とくに東京にある大学は、黙っていても受験生が集まるから、変革の努力もしていない。これまでの日本の大学は、自分の頭で考えない学生たちを育ててきた。いまだに多くの大学が、10年前と同じような教育をやっている。大学生にも、危機感は少ない。
大学教育も時代に合わせて進化すべきなのだ。しかし、変えていこうとする人間には敵が多い。
山内氏は、「大学の教育水準を今上げないと、改革の扉を開けないと、日本は本当に終わりますよ。もっと人材が流出すれば、大学側もあせって変わろうとする。少しずつ、変えていこうという仲間を増やしていくしかないと思う」と話した。
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