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農業が拓く大隈半島の未来(2)~(株)さかうえ代表・坂上隆氏インタビュー
流通
2012年3月28日 07:00

<農業に経営の概念を>
 ――御社では、どういった作物をつくっておられますか。

 坂上 ケール、大根、じゃがいも、コーンなど、総生産量6,000トンほどです。作物によって栽培の難易度はそれぞれ異なります。すべてが契約栽培です。

 ――TPPについては、どのように考えておられますか。

(株)さかうえ代表 坂上 隆 氏 坂上 良く聞かれる質問です。何も決まっていない現段階では、経過を見守るしかありません。ただ、誤解を恐れずに言わせてもらえれば、どちらでも良いと思います。カントリーリスクは、どの国にもあります。アメリカ、ヨーロッパも条件は同じです。オーストラリアは資源が豊富ですが、人件費は高い。
 正直なところ、実際に発効されてみなければ、本当の影響はわかりません。時代の流れを読むことは必要ですが、経営者に必要なのは、世の中がどう変わっても対応できる体制を敷くことだと思います。

 ――多くの業界が、経済活性化する政策を望んでいます。

 坂上 これもあまり関心がありません。天気と一緒です。晴れているときもあれば、台風に襲われることもある。政策も、農業に追い風ものもあれば、逆風のものもある。天気が悪いからといって、いちいち怒っていては身が持ちません。

 ――率直におうかがいしますが、農業は儲かるのでしょうか。

 坂上 儲かります。昨年度の売上高約は2億円。経常利益は約600万円です。経常利益率は3%です。現在は、業容が成長過程のために設備投資や教育などに投資していますが、安定期に入れば経常利益率10%は可能です。社員も、今は経験の浅い人が多いですが、年収1,000万円プレイヤーも遠からず生まれるでしょう。

 ――なぜ、これまで農業は事業化されてこなかったのでしょうか

(株)さかうえ 作業風景 坂上 たくさん課題があったと思います。10枚の畑で1枚の10倍分の収穫をするには、意識的にも技術的にも違う水準のものが必要です。
 農業は人類史上もっとも古い職業で、「意識」という面では"食うため"に作物をつくってきました。『マズローの欲求5段階説』でいう"生理的欲求"です。そうすると、「1枚ぐらいロスが出ても生きてはいける」という思考になりがちです。経済活動が活発に行なわれるようになったのは、わずか200年ほど前。その後に生まれた多くの職業と比べて、農業は性質が異なります。
 しかし、社会が成熟するにつれて、農業へ取り組む動機に変化が生まれ始めました。わが社の社員の多くが、自己実現のために働いています。農業に、経営の概念で取り組むところが増えてきました。

 ――「技術」という点でも、農業に幻想を持つ人が多く見られます。経験や勘のたしかな農家が、良い作物をつくれるなど。

(株)さかうえ 作業風景 坂上 農業が、技術を可視化するのが困難な業種であることは、間違いありません。
 しかし、およそ20年にわたってデータの蓄積やシステム開発に取り組んだ結果、可視化やシステム化をすることができました。
 我が社は、日曜日が休日です。植物なので様子を見ないといけないときもありますが、担当を決めてしまえばいい話です。きちんと真面目に取り組めば、製造業と同じ就業システムでやっていけます。これらのデータベースは、さまざまな活用ができると思います。いずれ、パッケージ化もできるでしょう。

 ――住友商事との資本提携も、そうしたところが目的ですか。

 坂上 事業拡大に向けて流通・販売ネットワークを活用できますし、人材育成も学べます。メリットは非常に大きいですね。

(つづく)
 
【鹿島 譲二】

(株)さかうえ(農業生産法人)
代 表:坂上隆
所在地:鹿児島県志布志市志布志町安楽2999
設 立:1995年4月
資本金:5,200万円
TEL:099-473-1990
FAX:099-473-1979
作付面積:150ヘクタール
http://www.sakaue-farm.co.jp/

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