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めがねのクラモト、老舗メガネ店が突然の破綻
倒産を追う
2012年3月28日 18:50

<破綻の経緯>
 3月27日付で山口地裁下関支部に破産を申請し、同日破産手続開始決定を受けた(株)クラモト(山口県下関市卸新町)。戦後間もなく興した町の眼鏡屋を原点に、後に移動視力測定車を用いた眼鏡の訪問販売分野に進出。近年は九州全県と中国四国地方に計40支店を構えるまでに成長を遂げていた。
 しかし、今年2月に特定商取引法違反を理由に6カ月の業務停止命令を受けたことで、主力事業であった訪販部門の大部分が停止し、信用も低下。業績が急落したことで資金繰りに行き詰まり、破産の道を選択したとされる。負債総額は約6億5,000万円。10年6月期の売上高約34億円に照らせば、負債総額はかなり低額に抑えられている。

<事業譲渡や弁済率について>
 関係者によると、行政処分を受けて今回の措置にいたるまでには、様々な可能性を模索したという。「グループ会社への事業譲渡や別組織の立ち上げ、あるいは元従業員の独立なども考えたが、いずれも断念せざるを得なかった」と、同人は明かす。新会社が元の会社と実質的に同一と見られれば、行政からも顧客からもNOを突きつけられる可能性が高い。弁護士らと協議のうえ、全面撤退やむなしの判断に至ったという。負債の処理については不確定要素が多いが、無担保で保有している不動産の処分代金などを宛てることで、概ね50%程度の弁済になるものとの話も聞かれる。

<グループ会社の処遇について>
 クラモトの本社社屋には、グループ会社の(株)ニッセツと(株)サミットが同居している。これらの今後について尋ねたところ、仕入会社であるサミットは、クラモトの破たん処理に続いて清算処理に入る予定とされる。他方で、輸出入業務を手がけるニッセツは、業務範囲を限定して事業を継続する方針が示された。

 一部で不適切な営業行為があったとはいえ、30億円を超える売上高を築き上げてきた老舗としての信用力に照らせば、メガネの訪販営業にはそれなりの正当な需要があったというべきだろう。しかし、消費者保護の流れを受けた法改正への対応を同社が疎かにしたことは間違いない。時代を見誤れば老舗優良企業ですら倒産に直結するという具体例を、我々は幾度と無く見てきた。「この土地で、何十年もまっとうにやってきた」と、正面を見据えながら毅然として語る関係者の姿だけが、印象に残る破綻劇であった。

めがねのクラモト

【田口 芳州】


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