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追跡!裁判事件簿

男・仲盛昭二、復活の序曲~構造設計"激震"の後(3)聴聞再び
追跡!裁判事件簿
2012年3月29日 10:43

 安全性とは別に、国交省は2009年6月、一貫性がなく再現性がない構造計算書作成は建築士法上の「不誠実行為」に当たるとして、1級建築士・仲盛昭二氏に対し、建築士法上の懲戒処分(免許取り消し)の挙に出た。
 しかし、仲盛氏の反撃を受けて、国交省の目論みは、もろくも撃沈した。

<国の敗訴判決逃れ>
 仲盛氏が同年7月2日、処分取り消しを求める訴訟を福岡地裁に起こし、同時に同処分の効力停止の申し立てを行なったのだ。
 福岡地裁は09年9月7日、免許取り消しの効力を停止する決定を出した。その後、国交省は審理のなかで不利を悟ったのか、「手続き上の違法がある恐れがある」として11年7月15日付で、処分そのものを職権で取り消した。

 判決になれば処分が違法とされ処分取り消しは避けられないところに追い込まれた国が、敗訴判決を逃れるためにとった行為としかいいようがない。実際の判決は、仲盛氏が取り消しを求めた懲戒処分がすでに取り消されたため、訴えの利益がなくなったので、訴えが不適法としたが、訴訟費用は全額、被告・国の負担とした。原告全面勝訴といっていい内容だった。

 ところが、その5日後、国交省九州地方整備局は前回と同じ物件に関して免許取り消しまたは業務停止を予定した聴聞を行なうと再び通知した。決着のついた相撲で無理やり"取り直しの一番"を迫るようなものだ。「まさに人権問題そのものだ」と、仲盛氏は憤る。

<国の目的は追放?>
構造計算書を「一貫性がなく再現性がない」とするのは... 仲盛氏は、「何が何でも私を構造設計界から追放しようとしている。不当な処分には徹底的にたたかう。反撃する"持ち玉"はまだまだたくさんあります」と語る。
 国交省が仲盛氏の構造計算書を「一貫性がなく再現性がない」とするのは、構造計算書が途中で差替えられ、入力データ部分と、それとは別の出力データ部分が合わさったものであり、入力データのまま計算した出力結果は、建築確認審査時に添付された構造計算書の出力データと一致しないというのだ。サムシングが受注した構造設計は1万件以上。国土交通省はそのうち622物件を抽出して調査した結果、20件が該当し、建築士として「不誠実な行為」に当たるとしている。

 この20件については、そのうち18件は第三者が、2件は仲盛氏が、検証し安全性が確認されている。これ以上の客観性はないのではなかろうか。
 仲盛氏によると、当時は、構造設計に当たって、地盤のボーリング調査、意匠設計、構造設計が「よーいスタート」で同時進行するのも珍しくなく、設計変更にあわせて構造計算を修正するのが当たり前。当時の構造計算プログラムは、演算(計算)に4時間、出力に3時間かかる代物だった。意匠設計などの変更があると、変更に基づいたデータを一から入力し直して再計算していては物理的に納期に間に合わないため、途中から計算し直した出力結果などの部分だけ差替えて付けるのは普通に行なわれていたと説明する。事実、仲盛氏が関わった構造計算の安全性が争われた裁判で、専門委員が同様の発言を行なっている。

 「人間のやることにヒューマンエラーは付きまといます。誤字脱字の範囲内です。誤字脱字の類で、"死刑"(免許取り消し)なんですか。理解できません」。仲盛氏は、「差し替え」とされる問題について、こう説明する。
 「結果を見てください。安全でしょう。じゃあ何が問題なんですか。すべて安全であれば、偽装する動機がありません。一般的な偽装の定義は、結果がNGだから意図的にごまかすことだ」。

(つづく)
【特別取材チーム】
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