＜ジャーナリストこそが我が人生の原点＞
　３月29日の夜、初めて東京銀座で徐静波氏と会い酒を重ねて議論をした。紹介の仲介者は毎日新聞のＹ記者である。「徐社長！！金にならない新聞を発行しないで経営コンサルタントで儲けたら」と真面目に提案した。彼の人生モットーは『中日ビジネスの掛け橋』だからである。ユニクロが中国国内に店舗展開をしている。その不動産案件の大半を徐氏がコーディネートしている実績がある。中国に進出しようとしている企業へのコンサルで確実に大枚を得ているのは間違いないはずだ。

　この提案を聞いて徐氏は激怒し青筋を立てて口から泡を飛ばし始めた。「ご指摘通り、新聞事業は真っ赤かです。この赤字を穴埋めするために必死で中国国内の人脈を活かしたコンサル業に専念して稼いでいます。しかし、私自身の本職というか天職はジャーナリストであるという信念があります。新聞発行を持続しながら『中日ビジネスの掛け橋』に貢献することに心底、燃えています。経営コンサルで中日２国に尽くすことは他人様に託しましょう。私はジャーナリストとして２国間の交流に一生、役に立ちたい」と、熱弁は止まらない。
　　　　　　　　　　　　
＜中国政府に食い込んでいる実績＞
　筆者が徐社長の存在を知ったのは２年前からだ。彼が発刊している『中国経済新聞』に関心を持ち購読している。月刊誌ながら紙面に目を通すと中国国内のことは一目瞭然である。後記するが、徐氏は中国要人の懐に深く入り込んでいるのがよーくわかる。少数精鋭で切り回している苦労がうかがえる。最近では中国経済新聞で読んだ浙江省温州市の企業倒産に興味を抱いたので弊社の記者を現地取材させた。温州市は中小企業の輸出産業の拠点の一つであった。付加価値に欠ける輸出産業が世界の不景気と相まって中国国内で成立が不可能になったことを物語っている。ドラスチックな産業構造転換が進んでいるのがわかる。

　もう一本、感心したのが『薄重慶事件』の記事である。まずは今回の中国共産党全国代表大会、全国人民代表大会に1997年から連続して15年間も取材している記者は徐氏のみである。この中国政府・共産党要人に深く食い込んでいるネットワークこそが彼の財産になっている。中国国内で起きたニュースに関して北京の日本特派員は徐氏にコメント求めてくる。彼の見解を下敷きにして北京発の記事が流れてくるのだ。これであれば『中国経済新聞』を読んだほうが参考になる。

　さて『薄重慶事件』の件である。このシリーズで２回書いたので詳細は省略する。薄煕来中国共産党重慶市委員会前書記長が解任された件である。この薄氏は「太子党」を代表する勢力の旗頭の一人であった（親父が共産党の大幹部であれば家族が優遇される勢力）。

　薄氏自身は自分が失脚されるとは思いもしなかった。首にされる数日前の記者会見にも徐氏は薄氏に取材をしているのである。彼は過去においても薄氏には二桁の回数の面談の実績があるのだ。だから薄氏の失脚を事前に察知できていたのであろう。この点に関して敬服する。過去の取材対象を見ると江沢民、胡錦濤、温家宝など中国共産党トップ達が並んでいる。

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▼関連リンク
・薄熙来中国共産党重慶市員会前書記罷免の背景は　（中国経済新聞より）
l・薄熙来共産党重慶市委員会書記、政治生命を絶つか　重慶事件（中国経済新聞より）

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