≪人工島対策の失敗で御臨終かも?≫
筆者はこれまで髙島宗一郎福岡市長に対し、口を酸っぱくして「このままでは人工島で失敗し、歴代市長の二の舞になる。きちんと勉強して、しっかりしたビジョンを描け」、と忠告してきた。残念ながら髙島市長にはその意味が理解できなかったらしく、人工島事業はこれまでにない厳しい状況に追い込まれている。
おそらく、市長の再選を「人工島」が阻むという、負の連鎖が続くことは確実だ。「こども病院の移転」、「青果市場の移設」、「150億円の体育館建設」と、箱モノ建設プランが続々と「アイランドシティ」で実現すると発表されている。髙島市長は「何かしらいわくつきの公共箱モノの墓場を人工島に集めるつもりでいるのか」という猜疑心が湧いてくる。
箱モノ建設への税金投入ばかり目立ち、土地を売却して借金を減らす努力は見られない。場当たり的な施策を見ると、髙島市長には「アイランドシティの理念は皆無」と断じたくなる。もうこうなると『愛の提言』のレベルはとうに超え、『苦言・警告』を発する段階になってしまった。
<期待はずれの若い市長>
髙島市長に対しては、「斬新な発想と行動力で、新しい福岡市の未来を切り拓くことができる」と信じ、できる限り応援していこうと考えてきた。それが、若い市長を選んだ有権者のつとめでもあると思ったからだ。とくに人工島に関しては、「付け焼刃で事を進めては失敗する」ということを再三忠告してきたつもりだ。しかし、「これは危ない」と感じ始めたのは、有識者らで構成する「アイランドシティ・未来フォーラム」を設置し、人工島事業の進め方を人任せにし始めてからだった。
髙島市長の話は上手だ。説得力もある。観光論になると、熱弁もピークになる。まーしかし、観光繁盛だけで都市・福岡が繁盛するわけでもないが――。この範疇のトークは、たしかに説得力がある。また、観光産業を盛り上げるための行動力には頭が下がる。トップセールスマンとしては、歴代市長では断トツの能力を有している。
髙島市長は、自身が興味を示すものには、弁舌が巧みになる。ところが、「アイランドシティ経営」に関しては興味がないのか、理念・方向性が皆無なのか、持論の展開を聞いたことがない。「アイランドシティ・未来フォーラム」の委員の前では自前の意見の露出はなく、ただただ「御意見をいただきたい」という姿勢に終始していた。行政のトップたる者の心得として、たとえば「私はアイランドシティを医療の分野で世界一の地にすることを目指しています。この目標を達成させるために、お考えを提示してください」という具合に、大きなビジョンのフレームを提示する必要があるはずだ。
| (2) ≫
※記事へのご意見はこちら