<世間市場に疎く>
ところで3月30日には、積水ハウスや地場企業など4社で構成する共同企業体が、博多港開発と結んでいた土地売買の協定に基づく購入契約を、事実上の見直しとなる「延期」とすることが明らかになった。
積水ハウスは、福岡市の開発事業を長年裏で支えてきたうえ、不人気な人工島の土地売却を、一手に引き受けてきた「恩人」(市OB談)である。最近では福岡市幹部には、積水ハウスとの太いパイプを持つ人材が払底しており、意志疎通がなされていない。
「アイランドシティ」にたどりつくまでに、東区千早、香椎浜地区ではマンションの供給過多の状況である。民間企業が簡単にリスクを背負うわけにはいかない。市の担当者たちは、そういう市場調査もまるでしていないのではないか!! このような行き当たりばったりの人工島対策が、さらに市の首を絞めるというかたちになってしまった。責任が、市政トップである髙島市長にあるのは言うまでもない。
<福岡市職員の掌握が足らず>
福岡市職員が怠惰になったもともとの元凶は、前市長吉田体制のときにある。だが、髙島市長は、職員の業務遂行の成果をあげさせる行政改革をなしてこなかった。野放図にしてきたと言える。
福岡市は「アイランドシティ整備事業に係る収支見込み」のプランを16案作成している。分譲計画単価を「まちとみなと」に分け、定期借地の導入や起債償還などを検討。それによると収支見込みは、最高「1億円の黒字」から、最悪「421億円の赤字」までの想定を行なっているのだ。髙島市長が腹を括った覚悟で臨まないと、事態はさらに悪化する。「高島市長はさらに財政悪化をさせてしまった張本人」と呼ばれるようになるだろう。
だからこそ、市職員の意識改革を行ない、アイランドシティ事業に対して死ぬ気で取り組みをさせる仕掛けが必要なのだ。今回の人工島への企業誘致策が発表された。「4年間で総額260億円の予算規模で、進出企業に土地買収費用の30%、建築費用の10%の最大30億円の税金投入支援政策」である。もし、この餌に釣られて企業が数多く進出意向を打診してくれるのであればハッピーだが、現実はそう甘くないはずだ。
現実は、頭を下げて営業しまくることが強いられるはずだ。今回の人事・野見山港湾局長では頭を下げて民間企業を訪問するセールスを指導できるか? できないだろう。はっきりと言えば、"港湾局長の人選はミス"である。仕事好きで能力の高い人材は、まだまだほかにいるはずだ。市長は市職員の掌握が足りないのではないか。『組織マネージメントが欠落している』ということになる。
高島市長本人が一番自覚されていると思うが、『アイランドシティ事業は本当に難儀』なのである。
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